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宝塚歌劇宙組東京公演「バレンシアの熱い花」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル・ロマン
「バレンシアの熱い花」

作・演出:柴田侑宏
演出:中村暁
作曲・編曲:吉田優子、河崎恒雄、(寺田瀧雄)
音楽指揮:伊澤一郎
振付:ANJU、蘭このみ
擬闘:清家三彦
装置:大橋泰弘、(黒田利邦)
衣装:任田幾英、(小西松茂)
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:伊集院撤也
効果:本多美生

報告を書こうと思う度に、いろいろな発表があってなかなか書けなかったが、明日は新公の報告を書く予定なので、まず、本公演を総括しなければ…ということで、本日は、宙組東京公演「バレンシアの熱い花」のお話です。
初演は昭和51(1976)年、今から31年前です。
残念ながら生まれてないなんて書けません生の舞台は観てないですが、当時「ザ・タカラヅカ」とかいう名前のテレビ番組(30分枠)で、何回かに亙って舞台中継されたものを、テープに録って、擦り切れるほど聴いていたらしいです。セリフも歌もかなり覚えてました

あ、ところで、初演では、「瞳の中の宝石」の1番の歌詞、“その眼差しは 私に火をつけ”じゃなかったですか?“紅の輝き”と“孤独な私の”の間ですが…

時は19世紀初頭、というから、ナポレオンが皇帝になった時代。
この当時、ヨーロッパを舞台にした作品だったら、内容は、ナポレオン帝政下の圧政に虐げられる人々の蜂起の物語ってことになる。柴田作品の歴史物っていうのは、物語の背景がしっかりとあって、その上に乗っているのが前提だから、ここを理解しないと、すごくヤバい物語になってしまう。
柴田先生は、ご自身で演出されていた時、よくヨーロッパの地図を背景幕に使ったりしていた。そういう工夫がないと、他国の歴史、当時の国際関係などは、なかなか理解できないと思う。

えー、そういう時代に、スペイン、バレンシア地方の領主ルカノール(悠未ひろ)という人がいる。この人は、前領主がナポレオンに従わなかったので殺害し、その見返りとして新しい領主に任命してもらったらしい。(殺害については、そういう疑惑があっただけで、証拠はない)
前領主の息子・フェルナンド(大和悠河)は、マジョルカ島に駐屯している軍人だったが、退役軍人のレオン将軍(美郷真也)に呼ばれて、故郷のバレンシアに戻って来る。
レオン将軍は、義賊のドン・ファン(七帆ひかる)が、ルカノールによる、フェルナンド父殺害の証拠を見つけたと言い、もし復讐するなら協力すると伝える。なぜなら、ルカノールはバレンシアの領民にとっても許しがたい領主だから。と、同時に、国王にナポレオンの実兄を戴くスペインの国情をも憂いている。
ルカノールは、子供がなく、それゆえ、甥であるロドリーゴ(北翔海莉)を養子にしたいと思っている。なのに、ロドリーゴの恋人、シルヴィア(美羽あさひ)を強引に後添えにしてしまった。
ルカノールを油断させるため、フェルナンドは放蕩三昧を始める。そこで、酒場の女、イサベラ(陽月華)と彼女に思いを寄せる青年、ラモン(蘭寿とむ)に出会う。
フェルナンドは、自分にマルガリータ(和音美桜)という非の打ち所のない婚約者がいて、彼女と結婚する気持に変わりはないのに、イサベラと愛し合ってしまう。
フェルナンドは、ロドリーゴの中にルカノールへの殺意をみとめ、一緒にやらないか、と持ちかける。それを立ち聞きしたラモンも仲間に引き入れようとするが、ラモンは一度は断る。が、祭りの夜、妹のローラ(花影アリス)をルカノールの側近・バルカ(寿つかさ)に殺害され、仲間に加わる。
こうして、「黒い天使」と名乗る攪乱部隊(フェルナンド・ロドリーゴ・ラモン)と、レオン将軍の正規部隊が結集し、クーデターを決行する。その中で、フェルナンド達は無事復讐を果たし、ルカノールが死んだことによって、バレンシアに平和が戻るが、ロドリーゴに夫を殺させるために手引きしたシルヴィアは自殺し、イサベラは、フェルナンドの悲願が達成されたことを知って身を引くのだった。

まあ、こんなお話ですかねー。

子供の頃、テープが擦り切れるほど、この物語は聴いていたのに、一度も矛盾を感じたことはなかった。が、こうして舞台を観ると、矛盾だらけでイタい話になっている。
もともとのストーリーも、よくよく考えれば脆弱ではあるのだが、宝塚なので、そのあたりは致命的な欠陥とも思えない。やはり、演出力の弱さ、そして配役が最大の原因だろうと思う。

この芝居の敵役・ルカノール公爵の場面から、芝居は始まる。
彼は前領主を殺害し、ナポレオンにおもねって現在の地位を築いた男である。当然、領民からは嫌われているし、前領主の息子・フェルナンドの動向にも気を配る必要がある。退役軍人といえど、軍部に影響力を持っているレオン将軍だって侮れない。
にもかかわらず、彼は、密偵や側近の言葉には耳を貸さず、なんにも手を打っていない
と同時に、せめて、親戚くらいは味方につけておこうよ、と思うのに、よりによって実の甥、しかも後継者にしたいほど目をかけている男の恋人を強引に妻にしてしまう。
もしかして、死にたいんですか?ルカノール様っ!

この矛盾に決着をつけるとすれば、まず、ルカノール公爵を“悪人”設定すること。その上で、悪人だったルカノールが、新妻に溺れて、それ以外のことがおろそかになってしまっている、という色ボケ設定する以外の解決は思いつかない。
そうすると、路線スターである、ともちんにこの役を振ってよかったのか、という疑問が残る。
専科から、色悪・チャルさまあたりを招聘すべきではなかったか、という気がしてならない。なぜなら、この役には“位取り”がいる、と思うからだ。
最近のヅカの演出家は、位取りということが全然わからなくなってしまっている気がする。それが、一昔前の作品をリバイバルする時に、ネックになっている。もう少し、歌舞伎などを見て、研究してもらいたい。
※位取りというのは、役者の格によって、細かい設定を書かなくとも、「この人は、身分が高い」とか、「最高の悪役」とか、観客に判断される役ということ。逆に位取りの要る役というのもあって、たとえば、ベルばらのオスカルなどは、主役じゃない場合であっても、それなりの役者に演じさせなければならない。位取りを使えば、専科から大物の役者が出演することによって、実際に悪い事をしていなくても、「きっと悪いヤツなんだろう」と観客が勝手に判断し、勝手に敵設定してくれる。
初演は、ベルばらでジャルジェ将軍を演じた沖ゆき子さんが演じていたという。そういう意味で、この役は書き込みのない役だったのだろうと思う。しかし、若い二枚目が演じる場合、「何故」「なんのために」が書かれていない悪役は演じにくい。逆に言えば、そこを書き足すことによって、深みの加わった作品に再生させることができる。
「ジャワの踊り子」が、平均年齢の上がった現代の宝塚で再生するために、二番手をアディナンではなく、タムロンに設定して、作品に深みが出たのはいい例だと思う。

まあ、そんな設定の矛盾と配役の疑問から、この芝居は、敵がおバカすぎて、このまま何もしなくても自滅しそうなために、味方が真剣に謀議をめぐらし、事件を起こし、敵を追い詰めていくというドラマに、緊張感もなにも感じられない。
じゃ、生徒は一生懸命頑張っているのにね、と言えるか、というところに、今の宙組の課題がある。

いや、もちろん頑張ってると思う。それは、疑っていない。
が、プロローグの場面。
振付は、ANJU(安寿ミラ)さんである。ANJUさん振付の男役群舞は、かっこよくて色っぽいはず…と思っていた私は、唖然とした。最初のポーズからして、ダメなんですけど…。一番かっこいいのが組長ってどういうことなの
かしちゃんトップ下で、少しずつ変化が見られたと思ったのは、間違いだったのだろうか?

続く場面が、ルカノール頭悪~い!(上記)な場面なのだが、ともちんが、やたらかっこよくて、色悪風で、素敵!と思ってしまったので、ますます、その先のストーリーが混迷した。
こういう役者には、彼なりの正義を与えてやれば、ドラマが深くなったのに…と思うと残念でならない。
逆に、観客がルカノールを応援してしまうかもしれない、という危険も孕んではいるが…。

とりあえず、敵を倒して、めでたし、めでたし、の物語だった。(なげやり)

フェルナンド役の大和は、軍服がよく似合う、色男ぶりだし、酒場で放蕩する場面も色っぽくて、新トップとして順調な滑り出し。プロローグの恐ろしく高いキーでの歌いっぷり(本当に男役か)の衝撃はすごいものがあったが。

ロドリーゴ役の北翔は、貴族の青年の、潔癖さ、一途さが美しさとともに出ていて、堂々たる二枚目ぶだった。高貴な役が、とても似合っているし、セリフのない時も、居ずまいが貴族らしかった。

イサベラ役の陽月は、お披露目のわりに、汚れ役ではあるのだが、今どき珍しい分を知った女、身の処し方の潔い女、いわゆるいい女の役を、しっとりと清潔に演じていた。清潔といっても、ちゃんと色っぽさもあった上で。スペイン女としては、いささか華奢にすぎるきらいもあるが、ダンスはキレがあり、歌もとても頑張っていて、鮮烈な印象を残した。

ラモン役の蘭寿は、この手のラテン系の役で外すはずがない、と思っていたが、かっこよく、熱く、ちょっと三枚目で、潔いいい役だわ、これ
ラモンとロドリーゴについては、本当に役替わりする意味があるのか?と思う位、適役だった。

それにしても、シルヴィアの弟まで敵軍についてしまうって…ルカノール、本当に人望なかったのね…。
そして、手引きを頼んだら、シルヴィアが自殺するくらい、読めよ、って思う。
バレンシアの男たちは熱いけど、女の気持にはまったく無頓着だということが、よくわかった。

《ツボった場面・人》

  • ホルヘ(鈴鹿照)とドン・ファン(七帆)が親子だった。かあちゃんがよっぽどデカかった?
  • ルーカス大佐(十輝いりす)がどこにいても目を引いた。私、ファンなのかな?
  • バルカ(寿)って、どこまでも頭が悪そうだったが、この人が側近で大丈夫なのか?
  • ローラ(花影)が、ハナフサさんに似ていて震えた。
  • マルガリータ(和音)、悪い子じゃないとはわかっていても、ウザい。初演の舞台は観ていないので、なんとも断言はできないが、テープで聴いた限り、ウザいとは思わなかった。マチコちゃん(北原千琴)ってどんだけ可愛かったんだ?
  • 大海亜呼が、ついつい目についてしまう。

相当正直ベースで書いてしまったので、ご気分を悪くされた方には、申し訳なく思う。
柴田脚本と中村A演出、本当に相性最悪だと思うんですけど

【去年の今日】
〝婦人科体験記〟というタイトルで記事を書いた。
ここでリンクすると、せっかく「続きを読む」で隠したのが全部出てしまうので、今回はリンクを外す。
ストレスってこともあるけど、年齢的なものも大きい、と一年経って思う。中年になったら、女性は、仕事より自分を大事にした方がいいんじゃないかな~と思うようになり、最近はヨーガやマッサージなどに定期的に行くように心がけている。


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★とろりん★

夜野さま、
もしかして…夜野さま、私と同年代かも!?あの…『秋…冬への前奏曲』を観劇されたのは、中学校何年生の時でいらっしゃいました?もしそうだとしたら、何だかとっても嬉しいです☆

さて、宙組公演。私は大劇場と東宝と1回ずつ観劇してきました。いろいろと突っ込みたいところはありますが、全て夜野さまが突っ込んで下さったので、もう何も言うことはありません(笑)。とにかく、ろくでなしらんとむが最高でした(笑)。ほっくんとウメちゃんもグッジョブでしたね~☆(あ、あれ?主演男役さんは…?汗)
by ★とろりん★ (2007-09-05 17:39) 

夜野愉美

とろりんさま
残念ながら…『秋…冬』の時には、自分の収入でムラに旅できるほどに育ってしまっておりました(笑)なにせ、初演の『バレンシア…』の時には、生まれていただけでなく、自分でラジカセの操作もできるくらいにじゅうぶん成長しておりましたので。
というわけで、同年代にはなれそうもないですが(無念)、どうぞ今後とも宜しくお願いします。
いやいや、らんとむは、よい仕事してましたね♪今後が楽しみです。
今月は、もうひとつのキャストも観劇する予定です。
by 夜野愉美 (2007-09-06 19:04) 

★とろりん★

夜野さま
すみません…「生まれてないなんて~」の部分を、「生まれてないから(感想を)書けません」と読み違えてしまいました。お気を悪くさせるような事を書いてしまい、申し訳ありませんm(_ _)m
私も来週、逆バージョンを観劇予定です。
by ★とろりん★ (2007-09-06 23:53) 

夜野愉美

とろりんさま
いえいえ、全然、気にしてませんから(笑)
来週は、貴族ならんとむを堪能しようと思います。
by 夜野愉美 (2007-09-07 00:15) 

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