So-net無料ブログ作成
検索選択

新春浅草歌舞伎観劇 [┣演劇]

新年東京初観劇、今年は、浅草公会堂の「新春浅草歌舞伎」となった。

写真[1].JPG

写真は雷門。
浅草寺は、金龍山浅草寺という名前なんだそうで、今年は浅草寺に初詣というのもいいのかもしれない…と思いつつ、素通り(汗)
いや…ゆうべムラから帰って来て、さすがに11時公演の前にお参りは…しかも超混んでるし<境内。

新春浅草歌舞伎、私、初体験でした。
無事、浅草公会堂に辿りつけて、よかった[ダッシュ(走り出すさま)]

演目は、『南総里見八犬伝』と『夕霧 伊左衛門 廓文章』。
ただ、新春浅草歌舞伎は、芝居の前にお年玉と呼ばれる、出演者の口上というか、ご挨拶がある。私が観た回は、中村隼人。
中村錦之助の長男で、現在高校三年生。現役の高校生が浅草歌舞伎に出演するのは、七之助以来十年ぶりなんだとか。若いっつーか、もう笑うしかない若さを感じました[あせあせ(飛び散る汗)]

一、南総里見八犬伝 二幕
曲亭馬琴 原作
石川耕士 脚本・演出
富山山中の場
大塚村庄屋蟇六内の場
円塚山の場
金井勇一 美術
竹本葵太夫 作曲
杵屋十三郎 作曲
田中傳次郎 作詞

宝塚でも上演したことがある“八犬伝”を抜粋で上演。
さすがに抜粋だとわかりづらい内容なので、発端である伏姫の懐中から8つの玉が飛び出す場面と、犬士の中で一番人気のある犬塚信乃と、恋人浜路の物語と、あとはとりあえず八犬士を出してしまえ!という、合理的かつ大胆な計算のもとに脚本、演出がなされている。
ま、歌舞伎の作品で、ちゃんと脚本・演出家が登場していること自体、とても珍しいのだが、今回は脚本を補綴し、音楽も新しく作っているようだ。

発端
富山山中の場

原作はさまざまな因縁話が相互に絡み合った複雑な物語なのだが、そのひとつに、領主の里見義実が、もし敵将の首を討ち取ったら、娘を嫁にやるんだが…と呟いたのを聞いた犬の八房(やつふさ)が敵の首を噛み切って持ってきたために、娘の伏姫(ふせひめ)が、富山山中で八房と暮らすことになった、という前振りのような話がある。
ちなみに、実際に現地にも行ったことがある私としては、トヤマと呼ぶのが違和感です。あの山はトミサンなんですけど…。
で、その伏姫(市川春猿)、なんと懐胎してしまった。
八房との関係は、主従のそれを越えるものではなかったにもかかわらず…。
とはいえ、子ができてしまったからには、八房を殺し、自らも命を絶つしかない…と伏姫が思いつめたところに里見家家臣、金碗(かなまり)大輔(市川男女蔵)が現れ、八房を鉄砲で撃つ。しかし、八房の命を奪った、その流れ弾で伏姫も致命傷を負ってしまう。
金碗から、佞臣の反逆から里見家が滅亡したことを知らされた伏姫は、腹の子にが生まれ、里見家の家臣としてお家の復興に助力してほしいと願って、自らの腹に剣を突きたて、切り裂く。するとそこから、発光する8つの珠が生まれ、空に飛び散った。

春猿の伏姫は、さすがの美しさ、気品、力強さ。
この人の玉梓も見てみたいかも?

序幕
大塚村庄屋蟇六内の場

蟇六(ひきろく=市川亀治郎)は、浜路の養父で、八犬士の犬塚信乃と犬川荘助が隠れ住む大塚村の庄屋。かなり強欲な性格で、養女の浜路のことも、金づるとしか考えていない。妻の亀篠(かめざさ=坂東竹三郎)も同じような性格で、この二人は、浜路を代官と結婚させて持参金をゲットしようとしている。
信乃(中村歌昇)と荘助(坂東薪車)は、すでに自分達が八犬士であることを知っている。その上で、信乃は御家の重宝、脇差村雨丸を旧主滸我(こが)家に差出し、里見家の再興を願う気持ちでいた。が、信乃は、庄屋の娘、浜路(中村壱太郎)と恋仲でもあった。
二人の様子を見ていた、さもしい浪人、網干左母二郎(あぼしさもじろう=中村亀鶴)は、浜路に横恋慕していたので、信乃が酷い目に遭うように…と、二人が別室にいる間に村雨丸を自分の刀と入れ替えてしまう。
信乃が出立すると、蟇六が泣き落としで浜路に代官との結婚を了承させる。これを聞いた左母二郎は、自分が蟇六に騙されていたことを知り、浜路を誘拐することにする。
代官、簸上宮六(ひがみきゅうろく=男女蔵)が現れるが、浜路はいない。
怒る代官を蟇六夫妻はかわすことができるかどうか、はたして?

八犬士の中でも、犬塚信乃は、二枚目という設定になっている。そういう意味では、元は悪くないのに、歌昇の化粧は一考の余地がある、と素人ながら思ってしまった。
浜路の壱太郎は、本当に愛らしい娘っぷり。でも、蟇六が狂言切腹をしようとしているのを無視したり、となかなか腹の据わったところもある。
薪車の荘助は、下男に身をやつしてはいるものの、ハンサムで目を引かれる。また目が効いていて、彼の視線でいろいろなことが理解できる。
男女蔵は、余裕しゃくしゃく
に見えた。
そして、亀治郎。もう亀治郎としての浅草への出演はない、ということで、とにかく観客を楽しませようというサービス精神を感じる。蟇六という役を演じることを含めて。やんちゃもサービスのうち、そして、そのやんちゃを許してくれるのが、竹三郎という重鎮の存在だろう。
歌舞伎の面白い演出のひとつ、“だんまり”が非常に楽しく、かつて宝塚の新人公演にトップさんたちが特別出演していた頃のような楽しさを感じた。もちろん、ここは本編のうちなのだが、それ位、前半とはムードが違っていた。
これから浅草を背負って行くだろう、壱太郎や歌昇へのエールなのかな?と思った。

ニ幕目
円塚山

自分が村雨丸と普通の脇差を交換したことを隠して、蟇六がそれをやったように言って浜路を連れ出した左母二郎。浜路を乗せる籠の担ぎ手と揉めて、山中で籠が放置される。
出てきた浜路に道が違うことを指摘され、左母二郎は本性を表す。
二世を誓った信乃のため、決して左母二郎のものにはならないと、浜路は必死で抵抗する。
そして、とうとう左母二郎は、浜路に斬りつけてしまう。こんな山中で、信乃にも会えず、本当の家族も知らずに死んで行くことが悔しいと嘆く浜路。
すると、村雨丸が吸い込まれた火定(火に飛び込んで成仏する)の坑から一人の修験者が現れ、左母二郎を退治する。
彼は、里見家の家臣、犬山道節(亀治郎)。お家再興のため、お金を集めては火定をすると見せかけて、火遁の術を使っていたが、この男が浜路の実の兄だった。兄に出会えた喜びを胸に浜路は息絶える。
そして最後に、不思議な8つの珠に導かれた八人の犬士が登場してのだんまりとなる。

左母二郎と浜路のやり取りが面白い。
脚本を新しく起こしただけあって、気持ちの流れがスムーズに感じられる。
最後のだんまりは、時代だんまりというもので、スターたちがスローモーションで動くのをファンが楽しむ趣向。歌舞伎の演出テクニックって心憎いなぁと、しみじみ感じた。

ニ、夕霧 伊左衛門 郭文章
竹本連中
常盤津連中

吉田屋

遊女と商人の二代目の恋物語、というと心中に繋がってしまいそうだが、この芝居は、大坂新町に実在したアイドル遊女“夕霧”の早世をを悼んで書かれた夕霧狂言という作品のひとつなので、最後にどんでん返しのハッピーエンドが用意されている。正月に相応しい演目だと思った。
師走の暮。
大坂新町の茶屋、吉田屋では、阿波の大尽が太夫の夕霧を呼んでいるが、なかなか来ないので怒っている。タイコモチと仲居が時間稼ぎに餅つきをさせている間に夕霧がやってきたようなので、中へ入る。
そこへ、紙衣(かみこ=紙の着物)を着た男が現れる。
吉田屋主人の喜左衛門(竹三郎)は、その粗末な身なりの男が、藤屋の勘当された若旦那、伊左衛門(片岡愛之助)と知って中へ招き入れる。
二年間の貧乏な蟄居生活の中でも、昔のままの伊左衛門に、喜左衛門も、妻のおきさ(春猿)も、すっかり心を和ませる。
そして、伊左衛門が夕霧の名を口にすると、ちょうど夕霧は、この茶屋にお座敷があって呼ばれているのだった。
夕霧の名を聞いて喜び、姿を見て喜び、別の客の座敷にいると言って拗ねる伊左衛門。ふてて炬燵で寝ているところへ、おきさから事情を聞いた夕霧(壱太郎)が現れ、二人の舞踊になる。
そこへ藤屋から使いが来て、伊左衛門の勘当が解けて、夕霧の身請の金が届く。

このストーリーを聞いたら、曽根崎心中の徳兵衛が「おかしいやないか、われ!」と言いそう。
でも、伊左衛門という人は、恋に一喜一憂するけれども、自分の境遇について誰かを恨んだりしないし、どこか浮世離れしている。そういうところが、喜左衛門にも大事にされ、やがては勘当も解けることになったのだろう。
ポジティブな性格が福を呼んだというか。
ホッとさせられるラストシーンで、今日は、いい芝居を観たな!という気分になれた。
私はこの作品、初見なのだが、一緒に観劇した友人は、仁左衛門[黒ハート]玉三郎でこの作品を観ているそうで、“まだまだやなぁ”と言っていた。
あのお二人に比べればそうなのかもしれないが、私は、とてもよかったと思う。
愛之助のこういう役は初めて観たが、まさに上方の二枚目。コミカルなところの工夫はまだまだ必要かな?とは思うが、こういう男性に女は弱いのよね、というのがわかる役作りになっていた。
壱太郎は、聞きわけのない伊左衛門を踊りで少しずつほぐしていくというところを、丁寧に丁寧に作っていた。母は踊りの家元(吾妻流)だし、舞踊はちゃんと見せないと周囲が納得しないだろう。これからも精進してほしい。
この舞台は、上手の張り出し舞台で竹本、下手下座で長唄、下手舞台奥で常盤津が登場するというものすごく贅沢な作りになっている。竹本と常盤津の掛け合いがあったり、長唄なんか、BGM仕様。いやー、入場料の安い浅草歌舞伎なのに、すごいサービス[ぴかぴか(新しい)]
イキな舞台だった。

新年から幸せな観劇。今年もたくさんの舞台を楽しめますように♪


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この記事のトラックバックURL: