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「RADIANT BABY」観劇 [┣ミュージカル]

「RADIANT BABY キース・ヘリングの生涯」

脚本・歌詞:スチュアート・ロス
音楽・歌詞:デボラ・バーシャ
歌詞:アイラ・ガスマン

演出:岸谷五朗

訳詞:小林香
音楽監督:前嶋康明
振付:大村俊介(SHUN)、原田薫

美術:石原敬
照明:川谷祐之
音響:武田安記(サウンドクラフトライブデザイン社)
映像:石田肇
衣裳:屋島裕樹(ファムリズム)

歌唱指導:亜久里夏代
音楽監督補:吉田能
音楽コーディネート:森岡孝夫、千葉健(東宝ミュージック)
振付助手:おごせいくこ

演出助手:森田香菜子

初日と千秋楽の前夜を観た。千秋楽前日の昼公演でアクシデントがあり、主演の柿澤がアキレス腱断裂の重傷を負った。医者の判断で残る2公演は演出を変えて続行し、大阪公演は中止となった。
何も知らずに劇場に到着した私は、演出の岸谷五朗氏の開演前アナウンスでかっきーの“ケガ”を知った。怪我の内容は伏せられていたが、開幕から場内は異様なムードに包まれていた。

こちらのレポ、基本的に初日の普通の状態について書き、最後に私が観た前楽の風景を付け加えることとしたい。

ラディアント・ベイビーをはじめとするキース・へリングの作品は、前から好きでよく見ていたものの、彼の人生については、よく知らなかった。エイズで亡くなったということくらい。
舞台にはまず、三人の子供たちが登場する。この子供たちは、3組の日替わりで、偶然、私はそのうち1チーム(設楽銀河・朝熊美羽・ミア)しか観なかった。キースは、こどもたちと絵を描くことを好んだらしい。のびのびと歌う子供たち…でも、けっこう過激なこのミュージカル、大丈夫だったかしらね[あせあせ(飛び散る汗)]
物語は、時系列には進まない。キースが突然、すべての仕事をキャンセルしてほしい、と言い出すところから始まる。マネージャーのアマンダ(知念里奈)が理由を尋ねても、彼は何も言わない。実は、エイズ検査の結果が陽性だった…ということがだんだんわかってくるのだが、このエイズ発覚⇒死に至る物語と、彼の半生が交互に出てくる、という進行になっている。非常に分かりにくいので、19●●年(●歳)みたいなテロップを背景に掲出していた。
彼が生きた20世紀後半は、激動の時代だった。
キース(柿澤勇人)は長男で、下に妹が3人いた。父親(香取新一)が彼にクレパスを与え、絵を描かせた。キースは、紙だけでなくあらゆる場所に絵を描いたが、母親(汐美真帆)は咎めなかった。そのことが彼の才能を伸ばしたのかもしれない。
その一方で、キースは、男の子の人形にスカートを穿かせたりしていた。
高校生の時から、プロムに女の子を誘うことはなく、高校を卒業してNYに出る頃には、本人もゲイであることを自覚していたようだった。
容姿に自信がなく、引っ込み思案だったこともあり、特定の恋人を作るのが苦手だった。
が、ある日、DJのカルロス(松下洸平)に出会って、恋に落ちる。また、生涯の友人・クォン(平間壮一)もでき、ひたすら親身になってくれるマネージャーのアマンダ(知念里奈)も採用することとなった。
一人の天才ポップアーティスト、キース・へリングの短い人生が、こうして花開く。
彼は、地下鉄アートで注目され、一気に時代の寵児となった。彼の絵は売れに売れたが、キースは、それをよしとはしなかった。もっと安価に、誰もが手に入れられるもの…そしてポストカードなどを販売するショップを自ら経営するという前代未聞のスタイルを考える。
実際、このショップは東京にも出店していて、このミュージカルは、彼が東京を訪れた時のエピソードも組み込まれている。
東京でカルロスは、キースに別れを告げる。「カレシ」という立場で東京に来ても、彼は暇を持て余すだけだ。誰かを愛することと、自分のアイデンティティーを守ることは、時に対立する。キースとクォンとアマンダの世界というのがあって、そこではカルロスはキースに一番近い存在でいることはできない。
東京というカルロスにとって働く糧のない場所に行くことで、二人の関係は決裂したが、その後しばらくして、キースのもとに、ある知らせが届く。それが冒頭のシーン。
エイズと診断されたことを最初は認めようとしなかったキースだったが、やがて、限りある時間の中で、自分にできることを精一杯やる、と言って、寝る間を惜しんでアートを制作し続ける。
生涯、友人であり続けたクォンもまた、エイズに侵され、二人は最期の時を迎えようとしていた。
それが、お決まりでもあるかのように、真っ白な病院服に身を包む二人。(「RENT」のエンジェルを思い出さずにはいられない!)
僕の最期の時に浮かんでくるのは、キミの人生だ、みたいなクォンの言葉が、ずーんと胸を打つ。
一番近くでキース・へリングの才能を見続け、でも、彼は画家じゃなかったから、写真家として協力も出来、アーティストとしての彼の思いも理解でき、そして最期は同じ病まで共有する。しかも、恋人じゃないから、カルロスみたいな苦しい思いもしない…。
もしクォンがキースを恋愛対象にしていたのだとしたら、それはとても苦しいことだけど、私が見た雰囲気では、あくまでも戦友のような存在に思えた。キースとクォンとアマンダが最強のトリオに見えたというか。恋愛対象でないという意味ではアマンダも同じで、最初から彼がゲイだと知っているから、そもそも対象から外している。でも、仕事は忙しくて、プライベートまでキースに振り回される毎日が続き…それでも全力でキースを支え続けている。

愛しているからこそ、奔放で勝手なキースから離れるしかなかったカルロスと、恋愛感情抜きでキースを支え続けるクォンとアマンダの対比が分かりやすく、なるほどなぁ~と納得した次第。
あとはもう、時代の雰囲気と、激しいロックのビートに身を任せてグルーヴし続けるだけ。
いやもー、楽しかったです。エリアンナちゃんとMizちゃんの歌が特に好きって思っちゃうのは、やっぱりあの時の「RENT」を引きずってるからなのかなー[黒ハート]

初日を観た時、一番強く感じたのは、カルロスとの恋愛じゃなくて、クォンとアマンダとの絆だった。
実際、それこそが、キースのアーティスト人生を支えたのだろうという気持ちは今も変わっていない。
しかし、アクシデントが起きた。

何も知らずに劇場に行くと、まず、演出の岸谷五朗氏が登場。
現在、毎朝、絶賛「てるてる家族」(BS)中なので、何も知らずに、超テンション上がった(ドラマで岸谷さんは、主人公一家のパパ役なのだ!)直後、かっきーの負傷を聞いてがーん[爆弾]という気分。
でも、手負いのかっきーは、今日動けなくなってもいい!っていうくらいに動き回る。
周囲のキャストが、そんなかっきーを悲壮な顔で支え、そしてあり得ないパワーで客席を煽る。観客もまた、家族を見守るような気持ちでかっきー=キースを見守っていて…あの空気は何だろう[exclamation&question]ある種、祈りにも似た空間が誕生していた。
燃え尽きたかっきーが、カーテンコールに登場した時、彼に肩を貸したのは、洸平くん。
劇中、最後までキースのそばにいられなかったカルロスが…と思うと、カルロスよかったね、みたいな、もう、登場人物と役者がごっちゃになるような、そんなカオスな時間だった。
本当は、カルロス、ずっとキースの支えに、どこか、なっていたのかな、なんて思うほど、洸平くんは、かっきーをがっちり支えていて…割れんばかりの拍手の渦の中、舞台と客席ががっちりとひとつに溶け合っていた。
そのものすごい拍手が、たった一度のカーテンコールで、さーっと終わった。
客席の誰もが、早くかっきーを休ませてあげたい…と思っていたらしい。そこまでの一体感を感じることって、なかなかない。
帰る道々、その熱狂と、かっきーへの心配…いろんな思いが交錯し、興奮した思いを押し隠しながら歩くのが、とっても大変だった…[もうやだ~(悲しい顔)]
大阪公演が飛んでしまったし、こんな素敵な公演、もっと色々な場所で上演されてほしいし…いつか、かっきーが全快して、スケジュールの都合のつくあたりで、再び、この作品を上演してほしい。いや、してくれると信じている。

最後に、メジャーな舞台で観るのは6年ぶりの汐美真帆さんですが…
キースのママ役は、こんな両親だからこそ、限界のない発想力を持ったキースが生まれたんだなーと思えた。息子のお絵かきも、息子のセクシュアリティも、そして息子の死さえも受け入れる度量。ちょっと浮世離れした雰囲気は、「てるてる家族」のてる子さん風でもあり…でも、あんな風にのめり込む感じはなくて、ただもう、キースを愛している。理解できなくても愛している、という雰囲気で泣ける。
そして、キース・ヘリングにとっては、道しるべを示してくれた先輩、アンディ・ウォーホルは、銀髪の鬘にサングラスというお馴染みのスタイルで登場。既に亡くなっている設定だったので、天国からタクシーで登場するというシュールな展開だったが、それだけに、リアル男性ではない汐美の不思議な雰囲気がピタリと嵌まっていた。
キース役の柿澤に合わせて、高いヒールの靴を履いたのも効果的。銀髪・サングラスと相俟って、大物感が漂いまくり[exclamation×2]
マジでかっこよかったです[黒ハート]
去年、観劇したお芝居の「普通の女のひと」より、全然アリだった。いい意味で浮世離れした人だからかもしれないけど。8月には、主演舞台が控えているとか。女優としての評価は、その時に下されるのかな。期待している。

シアター・クリエロビーに展示されていた、キースの作品たち。

ラディアント1.jpg ラディアント2.jpg

ラディアント3.jpg

“今日は何の日”
【7月3日】
尼子勝久らが毛利氏に降伏して自刃し、尼子氏滅亡(1578=天正6年)。

尼子氏というと…反射的に「八墓村」が浮かんじゃいますね[あせあせ(飛び散る汗)]


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