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「裁判劇Terror」 [┣コンサート・スポーツその他のパフォーマンス]

橋爪功×小曽根真
「裁判劇Terror」

朗読:橋爪功
ピアノ演奏:小曽根真

作:フェルディナンド・フォン・シーラッハ
翻訳:酒寄進一
上演台本・演出:深作健太

美術:関谷潔司
照明:倉本泰史
音響:久保剛
衣装(橋爪功):カナイヒロミ
舞台技術統括:金子彰宏
プロデューサー:栗原喜美子

企画・制作・製作:兵庫県立芸術センター

東京公演主催:J:COM/ANY、AXNミステリー

この公演、「冷蔵庫のうえの人生」兵庫公演の時に、チラシを見て、興味を持ったのだが、その時は「テロ」というタイトルだったような…[exclamation&question]なんか、タイトル違うんだけど、気のせいかしら…などと思いながら、会場へ。そしたらなんと、兵庫公演は、「橋爪功×小曽根真 テロ」というタイトルで上演され、東京公演のみ、この表題になっているということがわかった。
「テロ」のタイトルじゃ、日経ホール借りられなかったのだろうか。
(兵庫公演は、制作の兵庫県立芸術センターで公演。)

さて、この公演は、フェルディナンド・フォン・シーラッハの最新作にして初の戯曲を橋爪功が一人で朗読、音楽を小曽根真が担当する。そんな夢のような舞台。祐飛さんが出演した「TABU」以来、“シーラッハ大好き橋爪さん”(ラーメン大好き小池さんみたいな表現だな…[あせあせ(飛び散る汗)])にすっかりハートを射抜かれてしまった。
そして、そんな私の期待は、期待以上の結果となって返ってきたのだった[黒ハート]

簡単にストーリーを紹介する。ちなみに今夏東京創元社から発売された原作本の邦題は「テロ」でした[わーい(嬉しい顔)]

テロ

テロ

  • 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/07/11
  • メディア: 単行本

被告人は、ドイツ空軍少佐ラース・コッホ。彼は、テロリストにハイジャックされた旅客機(乗客164名)が、満員のサッカースタジアム(7万人収容)に向かって墜落しようとしていることを知り、その機を撃墜した。そして、民間人164名を殺した罪で、起訴されている。その弁護に、ビーグラー氏(「TABU」で橋爪が演じた、シーラッハ作品おなじみの弁護士)が立っている。
そして観客は、参審員という立場に立たされ、休憩時間に評決の札を投じなければならない。有罪か、無罪か。
登場人物は、裁判長、検事、弁護人(ビーグラー)、被告、証人2名(被告の上司と乗客の遺族)、これをすべて橋爪が演じきる。男も、女も。余裕でしたね。
その演技に寄り添うように、小曽根真がピアノを奏でる。なんて贅沢な時間[exclamation]
でも酔っているだけではダメなのだ。有罪か、無罪か、自分の考えを決めなければならないのだから。
2001年の同時多発テロは、民間航空機をハイジャックして米国の象徴的な施設を破壊するという恐ろしい計画だった。2機が世界貿易センタービルに突っ込み、1機が国防総省に墜落、残る1機が乗客らの協力によりテロを行うことなく墜落した。大惨事だった。
ドイツでは、2005年に航空安全法という法律が出来、最悪の場合は、航空機を撃墜することができる、ということになった。しかし、その一年後、連邦憲法裁判所がこの法律のもっとも重要な条文を無効とした。というわけで、航空安全法自体は法律として有効であるが、無辜の国民を救うために他の無辜の国民を殺すことは、違憲であると判断され、現在に至っている。
にもかかわらず、コッホ少佐は、民間機を撃墜した。
164人対7万人の「冷たい方程式」は、どう裁かれるのか。

立ち位置を少し変えるだけで、まったくの別人になってしまう橋爪の万華鏡のような演技と、それにピッタリと寄り添う小曽根の芝居を邪魔しない美しいメロディーに魅せられ、つい、「今話している人」の発言に納得しそうになって、おっといけない[あせあせ(飛び散る汗)]ちゃんと真実を見極めなくては…[パンチ]と気持ちを引き締める…の繰り返しとなってしまった。
ようやく、長い法廷劇が終わり、休憩時間。
一応の考えをまとめて、投票。
そして、票の集計時間を利用して小曽根が1曲披露。BGMとしてでなく、がっつりと聴かせてくれる。すごい難曲っぽい。痺れました[がく~(落胆した顔)]
そして、あらためて、注目の判決、となった。
まだ、兵庫公演が終わっていないので、その結果については、「判決」以下に丸めておく。
ネタバレOKの方のみ、ご覧ください。

公演には、翻訳の酒寄さんもいらしてて、いろんな階層のお客さんがそれぞれ、この裁判劇を楽しんでいたように感じた。
私も、大満足。また、シーラッハ大好き橋爪さんに魅せられたい、と思った。

“今日は何の日”
【8月13日】
徳川吉宗、第八代将軍に就任(1716=享保元年)。
(←旧暦。新暦では、9月28日となる。)
暴れん坊将軍…ですが、なんか、今は、英真さんの姿しか浮かんできません。

(つづき)
この作品は、戯曲形式で発表されているため、ビーグラー氏がどうして、こんな事件の弁護に乗り出したかは書かれていない。彼は「禁忌(タブー)」において、参考人である刑事を追及している。テロリストを拷問にかける権利をあなたは持っているのか、と。そのことで何万人の人々を救うことができるとして、それでも拷問はダメだと。
今回は拷問じゃないから、OKだったのかな。ビーグラー氏の心理を知りたいと思った。

審理は、すべての証拠を提示してくれている。
まず、コッホ少佐の発射したミサイルによって、飛行機は撃墜され、畑に墜落した。生存者はいなかった。
ハイジャック発生から撃墜まで約1時間かかった。
スタジアムには、サッカー観戦のため、7万人の観客がいた。
同スタジアムの緊急避難マニュアルによると、7万人の観客を全員スタジアム外に退避させるのに要する時間は15分である。(ホント?)
国防大臣は、スタジアム観客に避難命令を出していない。コッホに対して撃墜命令も出していない。
コッホを含め、上官のラウターバッハ中佐(証人)、その上官のラートケ中将から国防大臣に至るまで、軍では、憲法解釈の判例は間違っていて、元国防大臣ユングの「われわれは超法規的緊急避難が必要だ」という言葉に同意するものが多勢を占める。
一方、機内では、乗客たちがコックピットへの突入を決行しようとしていた。これは、機内から発信されたショートメールを受け取った遺族のマイヤー夫人が証言している。撃墜がなければ、事態は別の結果になっていたかもしれない。

そんなこんなで、私は、「有罪」という心証を持ちながら、聴いていた。
軍は、この機会を利用したのだ。7万人の観客を守るためには、航空機撃墜はやむなし、という「既成事実」を残すために。
ただ、コッホ少佐がスケープゴートにされた感はある。彼の上官たちが裁かれなくていいのか…そこをどう捉えるか、真剣に聴き、考え、少佐自身確信犯であったことに得心して投票した。
でも、無罪になっちゃうんじゃないかな~と思っていた。なんとなく…ビーグラーのファンも多いし。
そしたら、私の観た回は、圧倒的有罪だった。
一緒に観劇された他のお客さんが、何をどう感じて投票したか、が気になった。

そして、ほかの3回はどんな結果になるのだろう、ということも。


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