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三越劇場「びっくり箱」観劇 [┣演劇]

向田邦子「びっくり箱」「重役読本」

作:向田邦子

「びっくり箱」脚本:岡本さとる
「びっくり箱」演出、「重役読本」構成・演出:一井久司

美術:齋藤浩樹、加藤藍子
照明:阿部典夫
音楽:高橋たかふみ
音響・効果:秦大介
舞台監督:小菅良隆
演出助手:竹内一貴
制作:岡本多鶴、佐野仁志

演出部:上間幸徳
音響操作:冨田聡
照明:A Project
音響:東京演劇音響研究所
衣裳・大道具・小道具:東宝舞台
声の出演(「びっくり箱」):中山由紀
ヘアメイク(名取裕子):橋本靖男
ヘアメイク:田中エミ
公演支配人:大島隆弘

製作:アーティストジャパン

向田邦子の「びっくり箱」と初期のエッセイ「重役読本」を上演するという企画に、元宝塚の帆風成海が出演する…というので、行ってきました!
結論…女優・帆風成海はいい!!!

作品は、向田邦子の生きていた時代が舞台になっているから、ざっと今から40年位前の日本。それを現代に置き換えて描かれている。なので、少しばかり古風なドラマにはなっている。
厚子(帆風成海)は、恋人の良司(山本一慶)と一緒に故郷に向かっている。実は彼女は妊娠しているのだが、彼はまだ知らない。
厚子は携帯で友人の「ヨウコ」に電話をしているのだが、そこでプロポーズされるかどうかは「五分五分」だと語っている。そうかな[exclamation&question]男が女の親に会うためにわざわざ列車に乗る時点で、100%プロポーズだと思うのだが。
列車の中で、厚子はしきりに彼が母のとし江(名取裕子)に気に入られるかを気にしている。なぜならとし江は、夫を亡くして以来十年間、清く正しく美しく生きてきた人…だから。
ところが、娘が母に手紙で見栄を張っていたように、母も娘に見栄を張っていた。実は、ここ数年来、近所に住む5歳年下の男性、友行(喜多村緑郎)といい仲になっていて、近所でも公認の関係だった。そこへ厚子がいきなり戻ってきたから大変。母と娘は、自分を棚に上げて相手を罵り始める。
母と娘、そして2組のカップルはいったいどうなるのか…そんな物語が「びっくり箱」。
ラスト近く、良司が財布をなくした場面の顛末が印象的。ここで、とし江は、一瞬にして女から母に戻る。岡惚れしている自身の目ではなく、世間的な目で(ある意味偏見で)“夫”を見て、財布を彼がどうにかしたと思いこむ。そして、事実(良司が喫茶店に忘れてきた)が分かった時、疑ったことだけがそこに残り、彼女は、すべてを失ったと思う。その流れが切ない。
しかし、友行の心は海よりも広かった。
びっくり箱が二人の本音を繋げてくれる展開がやさしい。
ほかにも、母子の語らいの場面で、出されたワインをさりげなく持ちながらも、決して飲まない厚子、、、などの見せ方もうまいなと思った。
母でありながら、女としての現役感バリバリな、とし江を演じる名取の存在感が素晴らしい。そして大女優と丁々発止一歩も引かない新人女優らしからぬ帆風の演技に感動した。唯一、スカートの捌き方が雑で、どうしてそんなに足が見えるんだ[exclamation&question]と思ったりはしたものの、それ以外は、娘であり恋する妙齢の女性だった。
ふんわりと女性たちを包み込む柔らかさのある喜多村と、イケメンで心優しい青年を好演した山本、そしてこういう舞台を成り立たせるために欠かせない存在としての仲本工事素晴らしい座組みだと思った。
朗読「重役読本」も、めちゃめちゃ面白かった[黒ハート]
向田さんは職業婦人だったが、そういう自分を決して肯定的には見ていらっしゃらなかったんだなーという気がする。重役とその奥様たち、そして部下たちのエピソードが、性差を是認する社会構造の中で、それを肯定して生きて行く人々の物語として面白く描かれている。もし向田さんが御存命だったら、今の世の中をどうご覧になっていたのか…と、ふと思った。
新しい女性の生き方を素晴らしいと思ってくださったのか、それとも、小言ばあさんになっていたのか…。
テーマソング的に「寺内貫太郎一家」のテーマ曲が使われていたとか。「昭和のホームドラマみたいな曲だな」と思ったら、まさに。

ほのぼのとした時代だったなぁ。もう戻れないけど。
そういう古い部分をさりげなく換骨奪胎している脚本が素晴らしかった。あと、喜多村さんは、テレビドラマにもどんどん進出したらいいんじゃないか…と思った。

とにもかくにも、ホタテ最高[黒ハート]
朗読の時のベージュのパンツスーツも可愛かったです[かわいい]


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