So-net無料ブログ作成
検索選択

「ハムレット」観劇 [┣演劇]

ハムレット
ジョン・ケアード演出による「ハムレット」を観た。
舞台の上にもう一つ八百屋舞台を作り、芝居は基本、その上で行う。
舞台上手には椅子を置き、音楽(尺八)の藤原道三さんのほか、出演者たちが、出番の間に座っている。
舞台下手には客席を置き、横からではあるが、迫真のステージを観劇できる。
舞台上に余計な装置は置かず、場面ごとに必要なものは、都度役者たちが運び入れる形になっている。簡素なステージの上で、俳優の力量が試されるような、そんな「ハムレット」だった。
出演者は14名。
大きな劇場の「ハムレット」としては少ないが、世界中で愛されている「ハムレット」は、色々なサイズの劇場で上演されていて、私が過去に観た作品にも10名くらいの出演者のものは、いくつかある。出演者が少ない場合は、一人が何役かを演じるわけだが、この舞台の特徴は、主役のハムレットでさえも二役をしていることだろう。
つまり、意識的な二役。ここに、今回のケアード版の意味があるのだろうと思う。
実際、ハムレット役の内野聖陽が、ノルウェーの王子、フォーティンブラスになって登場すると、なんとなく釈然としなかったラストシーンが、納得できてしまう。国王・王妃・そして後継者すべてなくなってしまった国を、突然他国の王子が奪い去ることの理不尽さが、同じヒトが演じることで薄らぐのだ。
これは日本における「ハムレット」上演の画期的打開策かもしれない。
というか、ヨーロッパでは、あのラストシーンはそれほど、唐突ではないんじゃないかと思っている。なにしろ、狭い土地をやったり取ったりの歴史を繰り返してきたから。

で、「ハムレット」はお馴染みの物語なので、記事は、演出と、出演者の感想にとどめる。
まず、第三独白(to be or not to be)の位置が少し早い、という改変がある。そもそも第三独白は、ハムレットとオフィーリアのやり取り(尼寺へ行け)の直前にあるのだが、今回は、この二つが分断されている。その効果は…よくわからない。第三独白自体とても難解で深い意味は分からないので、どこにあっても違和感はないというべきか。
男性出演者は、日本の古代(それこそ邪馬台国とか?)みたいな衣装、ガートルードとオフィーリアは同じ白いドレスで、ガートルードは上衣をつけて帯をしている。で、二人とも白いスニーカー。男性出演者も足元はスニーカーっぽかった。白じゃないから目立たなかったけど。
ま、衣装なんかは二の次で、台詞劇を楽しめ、という意図とは思うが、このジャパネスク感は、どう理解したらいいのか。日本人なんだからキモノ着ておけってことなんだろうか。それとも海外公演を視野にいれているのか。
普段着での上演より、こういうジャパネスクの方が気になる。だって、なんか変だし。
で、「あなた太ってるんだから…」というガートルードの台詞があって、「ハムレットは太っていた!」という本も出ているくらいなのだが、実際、太っていた(笑)もちろん、演者の実年齢相応の素敵な体格なのだが、くすっと笑った。
そして、ハムレットとオフィーリアは、本当に恋しあっていたんだなーと思える演出。そして、レアティーズ(加藤和樹)もポローニアス(壌晴彦)も、オフィーリアが可愛かったんだなーと思った。だからこその悲劇。
貫地谷しほりのオフィーリアはとても素朴で、誰からも愛される女性だった。
オフィーリアが、父親の命令でハムレットを試すようなシーン、あの場面、彼女は何を考えているんだろう?といつも思う。そういえば、シェイクスピアに登場する恋する女子は、父親の言うことを聞かない子が多いのよね。そのせいか、余計、この従順さはなんなのだろう?と思ってしまう。
恋人同士の会話を父親に聴かせるのだ。いやじゃないのだろうか、と。
オフィーリア自身が、ハムレットの突然の変心に合点がいかず、彼の気持ちを確かめようとする父親の策に乗ってしまう、という解釈もできるのだが、今回は、わりと素直に父の言うことを聴く娘だった気がする。
墓のシーンから、最後の場面まで、ハムレットの愛、レアティーズの愛、レアティーズの苦悩が伝わって、すごくよかった。そして、ハムレットは若い俳優だけのものじゃないなーと思った。演技が熟してから演じるハムレットの良さを堪能した時間だった。


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「リメンバーミー」観劇 [┣演劇]

崩壊シリーズ
リメンバー・ミー」


作・演出:オークラ


美術:小林奈月
照明:松田かおる
音響:長野朋美
衣裳:四方修平
ヘアメイク:平野仁美
振付:Cha
アクション指導:富田昌則
演出助手:宮森かわら、道場禎一
舞台監督:兼安凌平


この舞台、「崩壊」シリーズの第2弾で、前回は、イギリス演劇の翻案だった。前回の感想はこちら
なのに、同じ設定でオリジナル第2弾が普通に作れる…って、二次創作なのか[exclamation&question](笑)それとも、前回作品がそもそも原作からだいぶ逸脱していたってことなのかな。あるいは、原作の上演権がかなり緩いとか…。
「THE PLAY THAT GOES WRONG」(原題)というイギリス演劇は、けっこう世界中で上演されているようなので、自由に上演させるスタイルなのかもしれない。舞台写真を見る限りでは、設定は、一応前作「九条丸家の殺人事件」に似ているようだったけど…。

荻窪遊々演劇社という、なんとなくどこかで聞いたような名前の劇団。前回公演で結婚を決めた座長の栗須(山崎樹範)と、舞台監督の杏里(上地春奈)。しかし、杏里の父は演劇やっている栗須になんか娘はやれないと言う。でももし次の芝居で自分を泣かせたら、考え直してもいいらしい。
その、重要な“次の芝居”である「リメンバーミー」の初日。客席には、杏里の父(が居る体)。しかし、舞台上には、相変わらずのメンバー。栗須と杏里の結婚を祝って開演前の舞台上でサプライズのフラッシュモブをやったりしている。(緊張感ゼロ[exclamation×2])音響・照明担当の鳥場(伊藤裕一)は、風邪で絶不調。そんな中、女優の愛(彩吹真央)がいまだに栗須を好きなのではないか、という疑惑が浮上して、嫉妬深い杏里はブチ切れる。杏里がキレると、大変なことが起るというのに…はたして舞台は無事に終幕するのか、そして、杏里の父は栗須を認めてくれるのか。


2回目ともなると、様々なことが既に「お約束」になっている。
杏里の嫉妬によって舞台が崩壊するとか。その対象はいつだって、元キャバ嬢の愛(彩吹)とか。

よくよく考えるとダメな話だと思うのね。
舞台人が舞台を破壊させちゃダメ。
なんだけど、逆にすごいと思ってしまう。
毎日これだけ崩壊させて、復旧して、を繰り返せるセットの素晴らしさ、そして、出ハケのタイミングの絶妙さ[ぴかぴか(新しい)]
だって、歩いてきたとこにドアが開いて脳震盪とか、タイミングを外したら、大惨事。でも、すべてカンペキ[ぴかぴか(新しい)]
完璧に崩壊するからこそスッキリするし、スッキリするからこそ、プログラムで上地春奈さんが言っているように、きっと杏里ちゃんは、プロの舞台監督じゃなくて、普段は別のお仕事をしていて、でも栗須さんのことが好きだから、彼のためにセットまで作ってあげちゃうんだろうなぁ~だから、プロ意識がなくてもしょうがないんだよなぁ~と思えるのだ。(観る側が勝手に補完してしまう)

ただ…今回は、残念ながら、ゆみこさん(彩吹)の素晴らしい脚が見られなかった。これも、お約束にしていただけるとありがたいのだが。あと、ヤマシゲさん、ちょっと太ったかなぁ[爆弾]


出演:山崎樹範、松下洸平、味方良介、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、伊藤裕一、彩吹真央、梶原善


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「弁当屋の四兄弟」観劇 [┣演劇]

「弁当屋の四兄弟」
藤波瞬平くんが客演するというので、スプリングマンの「弁当屋の四兄弟」を観劇。
いや~!いいもの、観た~!
てか、ほんと、藤波くん、はずさないよね…[黒ハート]
本人プロデュースのワークショップとか、まだ一度も行けてなくて、コンプリートの難しい俳優さんではあるんだけど、少なくとも私が観たものは、すべて「面白い」とおススメできる作品だった。なーんて私が言うのは珍しいけど、今回連れて行った友人も完全に嵌まってくれたし、たぶん、これからも間違いない仕事をしてくれるハズ。

さて、「弁当屋の四兄弟」
下北沢の711という小さな劇場。スズナリの2階なのかな、これって。
世田谷創業60年という老舗の弁当屋があり、その若旦那以下4人の男兄弟が主役の物語。話が進むうちに、それぞれの登場人物の心の中がちょっとずつ浮かび上がり、みんな生きていれば、それなりに悩みがあるよなぁ~と思いながら、観劇。観終わって、とても心地よい気分になる素敵な舞台だった。
たぶん、これ、今後も再演すると思うので、細かいストーリーは省き、出演者感想へ。

長男・信秀(日南田顕久)…弁当屋の跡取り。天才肌の父親と違って料理人の才能はない。経営能力もない。でも長男だから、ずっと自分が跡を継ぐ気でいた。そして、今、存亡の危機に立っている。とても優しい。本当はハンサムだが、身だしなみに気を使ったことがない。色々考えるととても難しい…たぶん一番難しい役だと思うが、あー、いるよね、すごくわかるーと納得してしまった。絶対に幸せになってほしい。
次男・龍盛(朝川優)…如才ないタイプで、大手電気メーカーに就職、ハワイ支社でバリバリ働いていた。が、会社が支店をたたむことになったので会社を辞めてしまう。夫婦仲も暗雲が。めっちゃかっこいい登場から一転、一番かっこわるいことになってしまう後半まで、なんか憎めないイケメンでした。
三男・清朝(沖田幸平)…ニート。恋人あり。絶対に働こうとしないのには、実は理由があった。前半と後半で一番印象の変わる人。あーそうだったのかーと思う。そして、その変わり身が超かっこいい。最初はホントダメ人間だと思っていたんだけど、すげぇ~!恋人のねねちゃんとの関係性もすごくいいなぁ[揺れるハート]と思う。現実にはありえないだろうけど。あ、いっこだけ、どうして次男のこと嫌いなんだろ?という謎は解けないまま。単に兄弟で三竦み(四竦み)ってこと[exclamation&question]
あと、彼は、冒頭上半身裸にトランクス姿なのだが、そのトランクスの中にちゃんともう一枚グレーのパンツをはいていて、それを見て、こういうとこがプロの舞台だ、と思ったことは付け加えたい。客席からどう見えるか、をちゃんとチェックしてるんだなーと。
四男・瑠宇玖(釜山甲太郎)…大学生。名前の由来からしてくすっとさせる。三男よりはしっかりしているようで、一番とんでもない展開が面白い。だめだめーとか言いながら、ポーズ決めたりとか、アイラブミーなところが可愛いです。
父・吾郎(藤波瞬平)…父の登場シーンは、この再演版からの設定とのことだが、ここが増えたことで、作品に厚みができたのは間違いないだろうな、と思う。天才肌の料理人。それゆえに使用人との関係がうまくいかなくなって、どんどん孤立していく。悪い人じゃない。でも、酒が手放せないようになって、悪循環。長男だけが知るあれやこれやのエピソードが切ない。
その他、パートの春日さん(あきやまかおる)、清朝の恋人・ねねちゃん(溝口小百合)、信秀のお見合い相手・後鳥羽さん(藤井真由香)、郵便局員で清朝の高校時代の友人・板垣(尾方泰輝)、かつての従業員・岩倉(堂ヶ平勇介)、八百屋ののりちゃん(苗村大祐※)、弁当商品の開発担当・平(溝口謙吾)…と総勢12人の出演者。
これって劇場サイズに比べて多いんじゃないかな~[あせあせ(飛び散る汗)]なんて余計なことを思った。
これだけの役者揃えて、これだけの芝居して、12人で3800円じゃ元取れないんじゃないの[exclamation&question]
あ、だから、物販…か…[あせあせ(飛び散る汗)]ごめん、すぐ帰っちゃって[もうやだ~(悲しい顔)]
てか、すぐに物販出来る体制がほしいかな。
役者に売ってもらわなくても、すぐ買えた方が嬉しいです。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「エレクトラ」観劇 [┣演劇]

エレクトラ

エレクトラ:高畑光希
オレステス:村上虹郎
イピゲネイア:中嶋朋子
アイギストス:横田栄司
クリュソテミス:仁村紗和
アガメムノン:麿赤児
クリュタイメストラ:白石加代子

演出:鵜山仁
上演台本:笹部博司
製作:りゅーとぴあ


白石加代子と高畑充希主演の「エレクトラ」。
上演されることは、昨年の「オフェリアと影の一座」の時から知っていた(おなじりゅーとぴあの製作なので)が、実際に観てみようと思ったのは、2月に観劇した「アトレウス」がことのほか面白かったから。その時の感想は、こちらです。
あらすじも書いてあるので、ぜひ読んでください。

今回の「エレクトラ」も、内容は「アトレウス」とほぼほぼ同じような展開。つまり、ギリシャ悲劇である。
ただ独白が重要なポイントになってもいるので、それぞれの独白枠をいい感じに繋ぎ合わせることもあって、内容は多少前後していた。

面白さという点では、「アトレウス」に軍配をあげたいが、最後の唐突な終わり方は完全に忘れていた。今回は、そこが全部持って行った感があるので、やはり、白石のインパクトはすごいと言わざるを得ない。
そういえば、アイギストスとクリュタイメストラが殺される順番は逆だった[exclamation×2]
でも、オレステスの遺体だと偽って相手に見せるというのは同じで、どっちにしても残酷な話である。(死んでほしいと思っていた相手の遺体を見るつもりでいたら、最愛の人の遺体だったわけで…)

実は生きていたことが明らかになる、イピゲネイア役の中嶋朋子、やっぱ好きだわ、このひと[るんるん]儚げな感じがたまらない。
ただ、この作品では、白石演じるクリュタイメストラが、自分を正当化するために、イピゲネイアが生贄になる場面をまるで見てきたかのようにおどろおどろしく語るので、この作品では殺されてしまったのか…と思っていた。白石の演技力にミスリードされてしまった人は多いのではないかしら[exclamation&question]

ダブルヒロインの高畑充希も、身体を張って、難役に挑戦していた。その迫力はすごかった[exclamation]
ただ、彼女はとても理知的な雰囲気が強く、セリフの喋り方も、相手を納得させてしまうような語り口なので、誰からも理解されないヒステリックな王女、エレクトラとはちょっと違うタイプかな…と思った。
そんなせいもあるのだろう、ダブル主演なのだが、やっぱり白石加代子の圧倒的な存在感が印象的な舞台だった。

舞台美術が素晴らしかった。プログラム買っていないので、どなたの作品かわかりませんが…家族の中に荒野があるような、ヒリヒリとした空気を感じさせるすごいステージだった。終わりの方で、オベリスク風の装置が、吊り上げられ、中に仕込まれていたアテネ像を使うところなんか、なるほど~[ひらめき]と、楽しく観ることができた。

そうそう、あと、さすが「パブリック」シアター[exclamation]と思ったのは、軽食がリーズナブルに提供されていること。近くのお店で食べるより、ここで食べた方がいいような気がする。


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「エレファント・ソング」観劇 [┣演劇]

「エレファント・ソング」

作:ニコラス・ビヨン
翻訳:吉原豊司
演出:扇田拓也

美術:内山勉
照明:桜井真澄
照明操作:松本由美
音響:井出比呂之
衣裳:樋口藍
舞台監督:小島とら
制作担当:栗原暢隆
プロデューサー:名取敏行
製作:名取事務所

とある精神病院の医師の診察室を舞台にしたサスペンス。

めったにここにはやってこない院長、グリーンバーグ(藤田宗久)がやってきて、看護師のミス・ピーターソン(安藤みどり)は緊張を強いられている。
この部屋の主、医師のジェームス・ローレンスが失踪した件について、理由を知っていると思われる患者、マイケル(佐川和正)にインタビューするために、グリーンバーグはやってきた。が、マイケルはとても特殊な患者らしい。ピーターソンは、院長に何度も警告するが、彼女の見た目(かなりのおデブさんらしい)が災いしてか、あまり効果を発揮していない。
連れてこられたマイケルは、院長を自分のペースに巻き込み、ローレンス医師を殺してロッカーに遺棄したとか、彼とはホモ・セクシュアルの関係だったとか、本当か嘘かわからない言葉で院長を翻弄する。挙句は、ローレンス医師が幼児性愛者であったと告発する。
院長は、そんなマイケルを脅したりすかしたりしながら、自分の優位を崩さない範囲で信頼関係を作ることに成功する。そして、カルテを見ようとするとマイケルが過剰に反応することを利用して、彼から様々な話を聞き出す。
彼が、世界的に有名なオペラ歌手、アマンダ・セント-ジェームスの一人息子であること。彼女はある男と24時間だけ恋をして、その結果、マイケルを産んだこと。彼が8歳の時、一度だけ父親の住むアフリカに行ったこと。父に会いたかったから。そこで、父はマイケルをサファリに連れ出した。一頭のゾウを父が撃ち殺し、それが彼の生涯のトラウマとなった。
帰国したマイケルに、母は、ゾウのぬいぐるみをプレゼントし、彼のためだけに『エレファント・ソング』という数え歌を歌ってくれた。
それは、マイケルに対する唯一の母親らしい行動だった。
マイケルは、思春期には地中海クラブで船旅を楽しみ、その際、幼児性愛者(年齢的には少年愛かも[exclamation&question])らに性的暴行を受けていた。そして、現在、彼はゲイを自覚している。
その事件の少しあとに、マイケルは母親を亡くしている。コンサートで失敗し、自殺を図った母は、マイケルが見つけた時はまだ生きていた。しかし、彼女のダイイングメッセージを聞いたマイケルは、彼女を救うための手段は取らず、彼女のそばでエレファント・ソングを歌い続け、28になったところで、母は死んだ。母を見殺しにしたマイケルの態度が問題になり、彼は、精神病院へと送られることになった。そして、今も彼は精神病院で暮らしている。
担当医師は何人も変わった。そして、失踪したローレンス医師は、マイケルを愛していると言った。マイケルは初めて、心を開いた。しかし、彼は、ベッドへ誘うマイケルを拒絶した。患者と担当医師だったからか、彼への愛を性愛を含めて考えることができかなったからか…は、わからない。
そんなローレンス医師のところに、彼のおばさん(伯母か叔母かは不明)が倒れたという連絡が入った。ローレンスは、慌てて出発した。マイケルに院長宛のメモを渡して。つまり、ローレンスの失踪に事件性はなかったのだ、ということが、ラスト付近でようやく明らかになる。

しかし、それは、マイケルの心に大きな傷を残している。
マイケルとジェームス(ローレンス医師)、二人だけの心地よい世界。いつだって、ジェームスにとって一番大切なのはマイケルのはずだった。精神病棟に囚われたマイケルにとって、それが世界のすべてだった。
ジェームスには、もちろん、それ以外の世界が存在する。
しかし、治療なのか、面接なのかはわからないが、マイケルをこの部屋に入れている時は、常に、マイケルだけがそこに存在していた。
そんな中、緊急事態ということで、診察室に繋がった電話。
ジェームスは、マイケルの目の前で取り乱し、彼との面接時間を切り上げて、倒れたおばのところへ向かおうとする。そして、マイケルにメモを託す。
それは、マイケルへの信頼にほかならないのだが、マイケルが求めているのは、信頼ではなかった。

自殺を図った母の最期の言葉は、「音を3つ外した」だった。
死を目前にして、たったひとりの息子を前に、彼女は自分の歌のことしか考えていなかった。

愛されたかった。
そのマイケルの純粋な思いは、こうして次々に裏切られる。
世の中、そんなものなのだが、無条件に愛された経験を持たない、傷つきやすい彼の魂は、ジェームスが去ったことで、最後の希望を失う。
院長を使って、マイケルは、大芝居を打つ。マイケルの目的、それは、すべてを話す代わりに得られるチョコレートだった。彼はチョコレートアレルギーだったのだ。周到な計画の果てに訪れる突然の幕切れ。

でも、本当に悲しいのは、看護師のミス・ピーターソンも、マイケルをとても大切に思っていることを、マイケルが完全に無視していることだったりする。彼女の愛は、母親の愛と言っていいものだったが、マイケルには伝わらなかった。
彼女が醜く太っていて、下品で、独身だったから。そして、マイケルはゲイだったから。自分を性的な目で見る(マイケルはそう信じている)中年女に耐えられなかったのだ。

圧倒された。パズルのように、作られた心理劇。でも、決してゲームのような軽さはない。
すごく面白かった。こんな演劇が上演されているカナダが羨ましい[黒ハート]


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

三越劇場「びっくり箱」観劇 [┣演劇]

向田邦子「びっくり箱」「重役読本」

作:向田邦子

「びっくり箱」脚本:岡本さとる
「びっくり箱」演出、「重役読本」構成・演出:一井久司

美術:齋藤浩樹、加藤藍子
照明:阿部典夫
音楽:高橋たかふみ
音響・効果:秦大介
舞台監督:小菅良隆
演出助手:竹内一貴
制作:岡本多鶴、佐野仁志

演出部:上間幸徳
音響操作:冨田聡
照明:A Project
音響:東京演劇音響研究所
衣裳・大道具・小道具:東宝舞台
声の出演(「びっくり箱」):中山由紀
ヘアメイク(名取裕子):橋本靖男
ヘアメイク:田中エミ
公演支配人:大島隆弘

製作:アーティストジャパン

向田邦子の「びっくり箱」と初期のエッセイ「重役読本」を上演するという企画に、元宝塚の帆風成海が出演する…というので、行ってきました!
結論…女優・帆風成海はいい!!!

作品は、向田邦子の生きていた時代が舞台になっているから、ざっと今から40年位前の日本。それを現代に置き換えて描かれている。なので、少しばかり古風なドラマにはなっている。
厚子(帆風成海)は、恋人の良司(山本一慶)と一緒に故郷に向かっている。実は彼女は妊娠しているのだが、彼はまだ知らない。
厚子は携帯で友人の「ヨウコ」に電話をしているのだが、そこでプロポーズされるかどうかは「五分五分」だと語っている。そうかな[exclamation&question]男が女の親に会うためにわざわざ列車に乗る時点で、100%プロポーズだと思うのだが。
列車の中で、厚子はしきりに彼が母のとし江(名取裕子)に気に入られるかを気にしている。なぜならとし江は、夫を亡くして以来十年間、清く正しく美しく生きてきた人…だから。
ところが、娘が母に手紙で見栄を張っていたように、母も娘に見栄を張っていた。実は、ここ数年来、近所に住む5歳年下の男性、友行(喜多村緑郎)といい仲になっていて、近所でも公認の関係だった。そこへ厚子がいきなり戻ってきたから大変。母と娘は、自分を棚に上げて相手を罵り始める。
母と娘、そして2組のカップルはいったいどうなるのか…そんな物語が「びっくり箱」。
ラスト近く、良司が財布をなくした場面の顛末が印象的。ここで、とし江は、一瞬にして女から母に戻る。岡惚れしている自身の目ではなく、世間的な目で(ある意味偏見で)“夫”を見て、財布を彼がどうにかしたと思いこむ。そして、事実(良司が喫茶店に忘れてきた)が分かった時、疑ったことだけがそこに残り、彼女は、すべてを失ったと思う。その流れが切ない。
しかし、友行の心は海よりも広かった。
びっくり箱が二人の本音を繋げてくれる展開がやさしい。
ほかにも、母子の語らいの場面で、出されたワインをさりげなく持ちながらも、決して飲まない厚子、、、などの見せ方もうまいなと思った。
母でありながら、女としての現役感バリバリな、とし江を演じる名取の存在感が素晴らしい。そして大女優と丁々発止一歩も引かない新人女優らしからぬ帆風の演技に感動した。唯一、スカートの捌き方が雑で、どうしてそんなに足が見えるんだ[exclamation&question]と思ったりはしたものの、それ以外は、娘であり恋する妙齢の女性だった。
ふんわりと女性たちを包み込む柔らかさのある喜多村と、イケメンで心優しい青年を好演した山本、そしてこういう舞台を成り立たせるために欠かせない存在としての仲本工事素晴らしい座組みだと思った。
朗読「重役読本」も、めちゃめちゃ面白かった[黒ハート]
向田さんは職業婦人だったが、そういう自分を決して肯定的には見ていらっしゃらなかったんだなーという気がする。重役とその奥様たち、そして部下たちのエピソードが、性差を是認する社会構造の中で、それを肯定して生きて行く人々の物語として面白く描かれている。もし向田さんが御存命だったら、今の世の中をどうご覧になっていたのか…と、ふと思った。
新しい女性の生き方を素晴らしいと思ってくださったのか、それとも、小言ばあさんになっていたのか…。
テーマソング的に「寺内貫太郎一家」のテーマ曲が使われていたとか。「昭和のホームドラマみたいな曲だな」と思ったら、まさに。

ほのぼのとした時代だったなぁ。もう戻れないけど。
そういう古い部分をさりげなく換骨奪胎している脚本が素晴らしかった。あと、喜多村さんは、テレビドラマにもどんどん進出したらいいんじゃないか…と思った。

とにもかくにも、ホタテ最高[黒ハート]
朗読の時のベージュのパンツスーツも可愛かったです[かわいい]


nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

お勢登場 [┣演劇]

「磁場」の倉持裕さんが江戸川乱歩の8本の短編小説を一本のドラマに構成した「お勢登場」を観劇してきました。

やっぱり、面白いぞ、倉持作品[exclamation×2]

お勢役は、主演の黒木華ちゃんにピッタリ。でも、黒木さん、実は、アテガキされるのが心地よくないタイプなのかな~という気もした。倉持さんは決してアテガキしたわけではないのだろうけど、実は本質突いちゃってる的な…。そういう意味で、今は、映像の方で観ていたい人かもしれない。

倉持さん、今年から来年にかけてすごいラインアップなんだけど…これは、全部追いたいかも…。


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

演劇集団砂地「アトレウス」観劇 [┣演劇]

演劇集団 砂地
「アトレウス」

台本・構成・演出:船岩祐太
美術:土岐研一
照明:和田東史子
音響:杉山碧
衣裳:正金彩
舞台監督:白石英輔
演出助手:山下由
美術助手:小野まりの
演出部:谷肇、菅井新菜
制作:河本三咲
フライヤーフォトグラフ:瑛大
宣伝デザイン:佐藤瑞季
主催・企画・製作:演劇集団 砂地

提携:公益財団法人武蔵野文化事業団
助成:アーツカウンシル東京(公益法人東京都歴史文化財団)


元スタジオライフの藤波瞬平くんが出ている、ということで、10年ぶりくらいに吉祥寺で下車し、初めての劇場「吉祥寺シアター」に行ってきた。
ギリシャ悲劇という以外、何も知らずに観たが、すごくよかった[exclamation×2]
「TABU」でお気に入りになった大沼百合子さんが出ているというのも嬉しい。

タイトルは「アトレウス」だが、アトレウスという登場人物は出てこない。
主な登場人物は、アガメムノン(高川裕也)の一家なのだが、そのアガメムノンの父が、“アトレウス”であり、アトレウスの一族の物語にはなっている。最初に事件に巻き込まれたのは、アガメムノンの弟、メネラオス(本多新也)。彼は、スパルタの王である。
そもそもはギリシャの神々に原因があるのだが、美の女神・アフロディーテが三人の女神の中で、誰が一番美しいかを競った時、自分を選んでくれたら、世界一の美女をプレゼントする、とか言い出したのだ。それを聞いて、審判に選ばれた羊飼いの少年パリスは、アフロディーテが一番美しい、と宣言した。その後、パリスは実はトロイアの王子であることが判明し、トロイアの王家に迎えられる。そして、彼は大使として招待されたスパルタで王妃、ヘレネの美貌に恋をした。そして、アフロディーテの助力により、パリスは、ヘレネを連れてトロイアに帰還してしまい、メンツを傷つけられたメネラオスのために、兄のアガメムノンがギリシャの戦隊を繰り出した、というところから物語は始まる。
ところが、船はアウリスの港に停泊したまま、風が起きない。
どうやら、狩猟の女神アルテミスの可愛がっていた女鹿を殺したことから、アルテミスはアガメムノンを嫌っているらしい。
神託によると、アガメムノンが娘のイピゲネイア(岩野未知)を生贄に捧げることで、風が起きるという。
アガメムノンは、妻のクリュタイメストラ(大沼百合子)に使いを出し、長女・イピゲネイアと英雄・アキレウス(藤波瞬平)の結婚が決まったと、二人を誘い出した。

最初の場面は、この長女を差し出すということに関する場面。

当然母親は本当のことを知って大騒ぎになるが、イピゲネイアは、この現実を受け入れる覚悟を決める。そして、誰もが目をそむける生贄の儀式の中、彼女は、忽然と姿を消し、そこには、血を流した女鹿が横たわっていた。

次の場面は、それから年月が経った、アガメムノンの館。
次女のエレクトラ(永宝千晶)が嘆いている。
母は、アガメムノンの従弟のアイギストス(間瀬英正)と夫婦のように、ここで暮らしている。二人の睦言は激しくて、それがエレクトラには耐えられなかった。
そこへ父、アガメムノンが10年に及ぶ戦からが凱旋する。
トロイアからカッサンドラ(天乃舞衣子)という姫を携えて。彼女は、予言が出来る。しかし、その予言を誰も信じないというアポロンの呪いにかかっている。
館に入りたくない、と泣き叫ぶ彼女(なぜならそれは死を意味していたから)の言葉を信じないアガメムノンは、無理やりカッサンドラを連れて入っていく。
次の場面で、二人は血まみれになって浴槽に沈んでいた。
クリュタイメストラは、アガメムノンを決して許していなかった。その報復が行われたのだ。

エレクトラは、母とアイギストスの新しい政治が気に入らない。
妹のクリュソテミス(小山あずさ)は、母に従っている。彼女からすると、勝ち目のない行動をするエレクトラはばかげているらしい。
彼らの行動について、コロス(小林春世・吉田久美・如月萌・工藤さや・宍泥美・石山知佳)が色々言ってのけるところが面白い。彼女たちの衣装は現代人風で、言っていることも現代っぽく、ギリシャ悲劇と我々現代人を繋いでいるような感じ。劇中の立場としては、ギリシャ市民といったところだろうか。てか、コロスにこれだけのキャストを揃えたのは、彼らの発言がポイントという意味だと思っていいよね[exclamation&question]コロスが女子だけというのも面白い趣向だと思った。

エレクトラの望みの綱は、弟のオレステス(田中壮太郎)。イピゲネイアが生贄に捧げられた時、まだ赤ん坊だった。そして、その後、家臣に預けられたため、一家とは没交渉だった。その弟が、父の死を知り、復讐のため、こっそりと帰ってくる。危険を回避するため、親友のピュラデス(藤波・二役)と謀って、自分は死んだことにして、情報を収集しようとする。
そして、アガメムノンの墓の中で、父を殺したのは、母と愛人だったことを知り、エレクトラに身分を明かし、復讐を誓う。

復讐は遂げられた。
しかし―

ここから先は、アッと驚く展開の嵐で…
正直、ちょっと混乱してよくわかっていない…[あせあせ(飛び散る汗)]

イピゲネイアが生きていた[exclamation×2]という、え…それじゃ、あの家族の殺し合いはいったい…みたいな展開から、最後は、裁判劇になる。
そこでもコロスが、女神アテネ(大沼・二役)の判決に異を唱え、「え、神様だからえらいの[exclamation&question]」とか言って混乱を呼んでいる場面は、コロスすげーってか、クレイマー最強[あせあせ(飛び散る汗)]みたいな感じで、いやー、感動を通り越して凍り付きました[たらーっ(汗)]

でも、ギリシャ悲劇がすごく身近に感じられ、上演時間があっという間だった。
コロスもすごかったけど、大沼さんの迫力にうっとりでした[黒ハート]
あと、裁判劇のところで、二人の人物が同時に台詞を言う場面があって、片方のセリフしかわからないよ~と思っていたら、位置を変えてもう一度同じセリフが出てきた。すると反対側の人物のセリフがよく聞こえる。
なんか、すごいトリックみたいに思ったが、マイクの指向性なんだろうか[exclamation&question]
ちゃんとそれぞれの主張も理解できたし、でも、双方が引かずに自分の主張をしているという混乱も伝わって、よい演出だと思った。

一緒に見た友人が、「藤波くん、見た瞬間に分かった。すごい倉田さん(スタジオライフの脚本・演出家)の好きそうなタイプだね」と言っていて、ちょっと受けました[わーい(嬉しい顔)]


nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

「磁場」終わりましたね! [┣演劇]

2016年~2017年、足かけ2年の大作(ちょっと言い過ぎ[exclamation&question])、「磁場」が無事、千秋楽を迎えました。椿1.jpgというわけで、なかなかセクシーだった、椿さんの衣装(1)を描いてみました。スカート丈はそんなに短くないものの、スリットが深くて、けっこう脚が見えてました[ぴかぴか(新しい)]

さて、祐飛さんが出演した作品については、基本的に「大空祐飛」カテゴリーで、祐飛さん中心の目線で語っていくことにしているので、その他の出演者の皆さんについての熱い思いとか、キャラクターについて思ったことなどは、先にこちらに書かせていただこうと思います。
あと、今回、登場人物の年代が見事にバラバラで、各世代を代表しているな…と感じたので、そこも書いておきますね。(とはいえ、俳優の実年齢はわりと近いとこに固まってるとか。ま、舞台ですからね。)

竹中直人さん(加賀谷役)
加賀谷さんは60代でしょうね。もう老人です。だからこその、執着みたいなものがモンスターのように怖い役でした。
こんな奇才な方に呼んでいただけて、絡んでお芝居させていただけて、ファンとして光栄すぎる…[黒ハート]
いや、もう、すごい…怖い…でも、面白い。得体が知れない感がたまらない。
千秋楽後に友人と話した時、加賀谷さんの正体について、全然別の見解が出ていて…ああ、面白いなぁ~と思ったんだけど、あの得体の知れなさを、裏社会の人、と位置付けるか、実業界の大物と位置付けるかで、ずいぶんと見方が違うのかな…と思った。(どっちでも解釈は可能だと思う)
でも、加賀谷さんとは絶対にかかわりたくないけど、竹中さんは、ほんとに、チャーミングな方。カーテンコールでスキップしている姿に見惚れてました[るんるん]

田口トモロヲさん(黒須監督役)
黒須監督は50代後半かな、映画監督として、一番乗っている時期と言えるでしょう。
クセのある役をやらせたら天下一品な田口さん。今回も、やっぱりクセのある映画監督。すごく印象的だった。
初対面から、加賀谷さんと黒須監督は、合わないオーラが出ていて、その噛み合わなかった歯車が、どんどん食い違っていき…黒須監督は、自分は負けないと思っていたけど…相手が悪かった、というところでしょうか。
短い期間で白髪になるほどの何かを経て、加賀谷さんに対して従順なヒトになってしまった黒須監督。その裏になにがあったのか…それゆえに、加賀谷さんが表社会の人じゃない…という判断も分かる気がする。
その強気⇒従順の絶妙な塩梅が、さすが田口さんでした。

渡部豪太さん(柳井役)
柳井さんは、まだ20代だと思う。いっぱい夢があって、しかも、すべて早くに叶ってきたラッキーボーイ。
で、今回の加賀谷さんのターゲット。
だいたいすごい人って一瞬にして相手の本質を見抜くというか、もう最初の握手の時点で、あきらかに狙われている。
最初は、その好意を素直に受け止めている。父親と同世代か、少し上かもしれない加賀谷さんには、敬意も感じている。
題材に対して、のめり込みやすい、というところは、椿との共通点でもある。たぶん、加賀谷さんは、そういう人を求めている。クールな人、というか、一歩引いている人、俯瞰している人は対象に選ばないのね。
その一方、柳井は、書きたいことがすごくハッキリしていて、それが見えてくるまでは書けない人。書きたくないことを書けない人。取り込まれてしまった柳井の未来は暗い…。
微妙な表情がすごくいい!一枚も書けてない時の顔がもう…!
あと、徹夜明けの芝居が超リアルだった。

長谷川朝晴さん(飯室役)
飯室さんは、この芝居の中で唯一年齢を明らかにしている人。先週45歳になったそうです。
加賀谷さんには、今回巻き込まれるメンバーの中では一番最初に会っていて、そもそもこの人がマコト・ヒライの映画を作りたいとか言ったから、今回の悲劇が起った。
すごくギョーカイ人な雰囲気がたまらない。
ってか、この所属事務所サイトの本人プロフィール画像がツボすぎる。めっちゃ好み[黒ハート]
既に足を洗っておりますが、私も映画業界にちょこっとだけ関わったことがあるから、映画プロデューサーっていう人種がすごく表現されていて、笑ったのなんの…
プロデューサーって企画を立て、予算を握って、映画を最後まで難破することなく作り上げる責任者なわけだけど、決して芸術家ではないのね。いろんなタイプの人がいて、夢が膨らんじゃうタイプだと、予算も膨らんで金策に走り回るし、予算厳守のプロデューサーだと、低予算を挽回するためのとんでもアイデアでしょぼい映画ができちゃったり…[爆弾]名画ができるって、ひとつの奇跡なのかなって思う。ましてヒットするなんてもう…[爆弾][爆弾][爆弾]
でも、プロデューサーは、今日も口八丁手八丁で、お金出してくれる人を見つけてくるんです。
さて、長谷川さんは、「真田丸」で、伊達政宗を演じている。今回の「真田丸」、独り歩きしている武将のイメージをぶち壊すキャラクターも多く登場して、私はすごくそれに惹かれたのだが、その一人が政宗だった。
強弱・剛柔が交互に出てくる…そして、空気読めたり読めなかったり、どっちなんだ[exclamation&question]っていう政宗は、長谷川さんという俳優さんのお得意のキャラクターだったのかーと、この芝居で納得した次第。また一人、お気に入りの俳優さんができてしまいました。

菅原永二さん(赤沢役)
20年前から加賀谷さんに付いているので、40代でしょうね。
世の中には、自分より上の人間(ほぼ加賀谷さん)と下の人間しかいない、という価値観の持ち主。
加賀谷さんには従順で、その本意を汲み、あえて加賀谷さんの代わりに泥を被ることも辞さない。一方、それ以外の人に対しては、加賀谷さんの代理人のように振舞い、横柄であるし、存在すら認めなかったりする。
でも本当は誰よりも人生の敗北者なんじゃないかな。ま、楽しそうだからいいけど。
横柄な時の声がツボ。台詞の間も独特で、ほんと面白い。椿さんとは、どこか一蓮托生なんだけど、互いに「あいつこそは人生の敗北者だ」って思っていそう。

玉置孝匡さん(時田役)
40代でしょうね。労働運動のリーダー的存在なので。
経営者が変わってしまったホテルの中で、アイデンティティーを失いかけているスタッフ。でも、インペリアルスイートの担当になったということは、絶対ポジションアップだよね[exclamation&question]それでも前の方がよかったんだ[exclamation]
「前の方がよかった!」ということに拘泥するが、仕事への正しい忠実性に欠けるところが面白い。部屋に置かれた絵画の作者を知らないくせに、死守しました、と言い張ったり…みたいなとこね。
今日用意できる軽食、「サンドイッチと…」の後は、当初アドリブだったような気がするが、絵画の作者について聞かれた後の、「確認して参ります」の間が最高[ぴかぴか(新しい)]で、爆笑を誘っていたためか、公演後半は、ここにさらに「確認して参ります」を入れて笑いを増幅していた。
赤沢との攻防も笑わせたが、本多劇場後半から、やや簡略化されていた。ま、大人のホテルマンとして、最重要な顧客に対して敵意むき出しはおかしいかな。毎回、後転が鮮やかでした[ぴかぴか(新しい)]

黒田大輔さん(姫野役)
30歳前後かな。柳井よりは年上だけど、タメ口きける範囲の年齢差ってとこで。
小劇団の団員だなーという雰囲気がプンプンする。でも、あんまり努力したいタイプではないのね。
セット(のようなでかいもの)を見ると、みんなの力でどうにか動かそうとか思ってしまうところが、まさにキャストとスタッフ両方こなさなきゃならない小劇団ならでは、の習い性かな。
その延長線上で「鉄かー」ってのはすごいよくわかる。
演劇界のヒトなら、「日差しの女」より「鉄かー」が正しい。それを許せない柳井は、この時点でもう演劇界のヒトではなくなっている。もう、磁場に取り込まれているのだ。
加賀谷さんが姫野を脚本家に指名したのは、彼を殺させるためではないと思う。でも、姫野に書かせる気があったとも思わない。結局、作者の中で、この結末は唯一無二のものだから、加賀谷さんの真意なんて、意味はないけれども。
でも、いるよね、こういういい人なんだけど、ダメな人って…。でも、憎めなくて好きです。
田中邦衛さんの真似してるのかな、って思うところがあちこちにあって、それも面白かった。

こんな多彩なメンバーの中で紅一点として、異彩を放っていた祐飛さんについて、は、ゆっくり書いていきたいと思います。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

「オフェリアと影の一座」観劇 [┣演劇]

りゅーとぴあプロデュース
「オフェリアと影の一座」

原作:ミヒャエル・エンデ(岩波書店刊)
上演台本:笹部博司(りゅーとぴあ演劇部門芸術監督)
演出:小野寺修二

音楽:野瀬珠美
美術:松岡泉
照明:吉本有輝子
音響:池田野歩
衣裳:堂本教子
ヘアメイク:増田佳代
演出助手:石内詠子
舞台監督:矢島健

小さな町の小さな劇場でプロンプターをしていたオフェリアという名のおばあさんが、あるじを持たない“影”たちと一緒に劇団を作り、大評判をとる…というミヒャエル・エンデの作品が舞台化された。
オフェリアは、生まれた時から、両親が見た“将来は女優に”という夢のもと、世界で一番有名な芝居のヒロインの名前を付けられた。しかし、彼女は生まれつきとても声が小さく、女優にはなれなかった。その代わり、彼女は、ぴったりの職業を見つけた。プロンプター。劇場に響き渡る声ではないからこそ、役者にだけ届き、芝居を動かせる。
しかし、世の中に映画が生まれ、交通網が発達すると、小さな町の劇場は、存在価値を失ってしまう。人々は、スターを見るために映画館に行き、もっと大がかりな演劇を見るために大きな都市へ行く。劇場は閉鎖され、オフェリアさんは失職してしまった。
やさしいオフェリアさんは、閉鎖された劇場に、あるじのいない影を見つけ、一緒に暮らすことにする。噂は噂を呼び、同じような境遇の影たちがたくさんオフェリアさんのもとに集まった。彼らは、オフェリアさんの鞄の中で暮らしていたが、しょっちゅう仲たがいをしていた。
オフェリアさんは、プロンプター時代にそらんじていた芝居の台詞を影たちに教えるようになる。影たちは協力して演劇を始める。そして、オフェリアさんは、彼らの演劇を見て楽しんでいたのだが、ある日、アパートの家賃が2倍になってしまい(どうやら、影たちの騒ぎが近所の噂になっていたらしい)、途方に暮れる。そんなオフェリアさんを助けるために、影たちが立ちあがった。
こうして誕生した“オフェリアと影の一座”は次第に大評判をとり、オフェリアさんは幸福な老後を過ごすことができた…というようなストーリー。
実際に、一座の上演作品として「トゥーランドット」「オンディーヌ」が劇中劇として披露される。「トゥーランドット」は、オペラ作品として、「オンディーヌ」はマイム・バレエ作品として。

オフェリア役には、白石加代子が配され、圧倒的な存在感を示す。全然声が小さいとは思えないが、そもそも女優が声小さいとかありえないので、そこはしょうがない。
影たちは、顔に影のラインを引き、さまざまな役を演じる。そもそもの影の演劇が始まる前の、オフェリアの両親や周囲の人々も影が演じている。そのメンバーの異色さがすごい。そしてそこに、4名の元タカラジェンヌがいることに、大きな意義を感じた[黒ハート]
旺なつき、彩吹真央は、男役もさらりとこなす。彩吹は、トゥーランドットのカラフ王子役も演じている。新潟までファンが大挙訪れたのも納得のカラフ様だった。
は、男役も女役も歌いこなす。その音域の広さ、声の美しさに圧倒される。また、年齢を重ねた美しさに心を奪われた。女性はより女性らしく、男性は誰よりもかっこよく…。いいな、年を重ねた男役って…と思った。
彩乃かなみのトゥーランドットは圧巻。女であるがゆえに傷つけられ、苛まれてきたすべての女性のために、心を閉ざし、永遠に誰とも結婚しない誓いを立てている。そのために求婚してくる男達に3つの難問を突きつけ、答えられなければ彼らの命をうばうことに何の躊躇もない。
彼女が心を閉ざした動機が、やさしい気持ちであるがゆえに、そのかたくなさも、傲慢さではなく、張りつめた糸のように脆く危ういもので…ということが、とても伝わる歌唱であり、表情だった。
真瀬はるかのリューは、片思いの相手(カラフ)のために、命を捨てることをなんとも思わない強さと一途さを元男役とは信じられないような美しいソプラノで聴かせる。可憐な役が良く似合う。まさか、髭男子だったとはね[あせあせ(飛び散る汗)]
「トゥーランドット」は宝塚の実力を余すところなく見せつける、すばらしい劇中劇だった。
宝塚を知らない観客が、「さすが、宝塚。出身者は、みんな歌ウマなんだ」と信じ込むことだけが不安[爆弾]
「オンディーヌ」は、白石がオンディーヌ役と語りを演じ、ハンスに舘形比呂一、そして水の精としてのオンディーヌを辻田暁が演じた。
光と影の使い方が美しくて、布を使ったダンスも、ありがちだけど美しい。
とはいえ、オンディーヌ(白石)が、黒髪の上から、髪飾りのようなひと房の水色の髪の束をつけたくらいで、金髪というのは微妙な気がした。
シルク・ドゥ・ソレイユ出身のパフォーマー、フィリップ・エマールが、英語・フランス語。そしてカタコトの日本語を駆使して、よいインパクトを出していた。

オフェリアさんが最後に乗っていた車(?)に書かれていた一座の看板、《オフェーリアと影の一座》とある。オフェリアか、オフェーリアか、そこは、統一しようよ[パンチ]と思った。

“今日は何の日”
【12月6日】
実力制名人位となった第1期名人戦で、木村義雄が名人となった(1937=昭和12年)。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇