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宝塚歌劇月組東京特別公演「瑠璃色の刻」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「瑠璃色の刻」


作・演出:原田諒
作曲・編曲:玉麻尚一
振付:麻咲梨乃、良知真次
装置:松井るみ
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:市川ふみ
歌唱指導:山口正義
演出助手:谷貴矢
舞台進行:阪田健嗣


ドラマシティもACTも日程が合わないまま過ぎてしまいそうだったので、決まっていた予定をやりくりして行ってきました。
まずは、みやちゃん、単独初主演、おめでとうございます[黒ハート]

今回の公演、私の中では、「月組2番手となった美弥るりかの単独DC公演」という部分がとても大きくて、少々話がアレだったとしても、ご祝儀で流せる自信は最初からありました[わーい(嬉しい顔)]そしたら、思いのほか面白くて、あら、これはいいんじゃないの?と思っていたら、あまりに超うっすーいラストシーンで、さすが原田先生(笑)となりました。
まあ、でも、ご祝儀だから、あんまり文句は言わない。
(少しは言うかもしれない)

オリジナル作品の初演の場合は、自分の中の備忘として、あらすじを丁寧に書いておくのだが、原田先生の場合、それができない。なぜなら、思い出せない部分が多いからだ。人間の記憶力には限界がある。そこを埋めるのが、登場人物の感情の流れ…なのだが、なんせ原田作品は、原田先生の都合で登場人物が動くので、あれ、あの後、なんでこうなったんだっけ?となる。一度しか観ていないと、さらにその「?」は深まる。
なので、今回は、あらすじを書く自信がない。
とりあえず、時は18世紀。フランス革命前夜の時代。シモン(美弥るりか)とジャック(月城かなと)という二人の旅役者が金目のものを求めてシャンボール城に忍び込んだことから物語は始まる。城の持ち主・サン・ジェルマン伯爵の肖像画を見て二人は驚く。なんとシモンにウリ二つだったのだ。
こうして、サン・ジェルマン伯爵とその従者・テオドールに扮したシモンとジャックは、ベルサイユに入り込み、王妃や貴族たちに取り入る。そして、国王が平民出身の財務大臣、ネッケル(輝月ゆうま)を解任しようとしている事実を知り、ロベスピエール(宇月颯)に情報を流す。そこからジャックは革命家の仲間入りをするが、シモンは自分を頼りにしている王妃アントワネット(白雪さち花)を見捨てることができなかった。一方で、シモンたちのいた旅役者一座が王妃のサロンにお目見得することになり、シモンたちは慌てる。王妃は、アデマール(海乃美月)の才能に気づき、ベルサイユのバレエ団に入れてやる。しかし、アデマールは、王妃への憎しみを募らせるだけだった。
そして-
という物語だったと思う。
この「そして-」という書き方は、以降の話がよく思い出せないので、そう書いている。てか、そもそも物語があったのか、よくわからない。
色々あったけど、三人は、サン・ジェルマンの城で、新たな人生の一歩を踏み出すんですよ、とにかく[爆弾]

原田先生にはオリジナル作品を物語る能力が欠如しているようなので、そこを責めるのはやめようと思う。早くショー作家になればいいのに…とは思うけれど。
ただ、宝塚の座付演出家として、バスティーユの場面はあれでよかったのか…、本人の中で、バスティーユをどう描こうとして、どう試行錯誤してあの場面に落ち着いたのか、聞いてみたい気持ちにはなった。“敵兵を描かずに正面に向かって武器を持って踊るダンスだけで戦いを表現する”って、かつて植田紳爾先生が「ベルサイユのばら」で編み出した手法だからね。
若い原田先生ならではのオリジナルなバスティーユはなかったのかな…と。
それに軍人でも民衆でもないロベスピエールが先頭で戦うって明らかに変だし。
オスカルをセンターにした、あのバスティーユのダンスの主旨がしっかりと理解できていないから、ロベスピエールセンターのダンスシーンを考えてしまうんだと思う。当時、ロベスピエールは、議員になったばかりの青年なわけで、どうして彼中心のダンスでバスティーユ攻略が成功するんだろう…。(史実ではオスカルはいないけど、フランス衛兵隊が寝返って、軍隊としての機能をバスティーユ攻略に向けたことが、バスティーユ陥落に繋がったんだし、少なくとも、センターのいる統制の取れたダンスは、そういう背景を表現するものだと思う。)
としちゃんのかっこいいダンスを観たいというのとは、別の次元だから、それ。
かっこよく踊ってくれるのは嬉しいけど、「ベルばら」みたい…と思われると、かっこよさが半減するじゃん[バッド(下向き矢印)]
もっと考えて、考えて、場面を作ってほしい。先輩が血を吐きながら作った場面に、タダで乗っかるなよ[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
安易に翻る三色旗(7/14当時はなかった)もそうなのだが、作品作りに、若者らしい生真面目さが感じられない。たぶん、その辺が一番私の苦手なところなのかもしれない。

そんな原田作品なので、登場人物の心の動きが、脚本からは読みとれない。
にもかかわらず、最後までシモンとジャックに寄り添うことができるのは、美弥月城の演技のたまものと言っていい。
美弥は、初めての単独主演公演が、失敗の許されないドラマシティ公演となったプレッシャーなどものともせず、冒頭の妖艶なサン・ジェルマン伯爵のダンスで、まず、観客のハートをくぎ付けにする。その後、登場する、本役のシモンで、決して100%好青年ではない、けれど根っからの悪人ではない、若さゆえの未完成さを持つ、なんとも言えない魅力的な青年像を表出する。
この美弥を観られただけで、今回の観劇目的は、達せられたと言っていい。
月組への移籍後初出演の月城は、ニンである生真面目なキャラクターを生かした直情的な青年を緻密に作り上げ、雪組での経験が、月組に花開こうとしているのを強く感じた。特に、彼女の美貌が美弥とのコンビで輝いていたことは特筆したい。
ヒロイン役を多数演じている海乃は、今回もお得意の、物堅い、思い詰めたヒロインを好演。ただ、従来、宝塚でヒロインになる娘役は、「ベルサイユのばら」(原作)のロザリーのように、マリー・アントワネットに否定的な考えに凝り固まっていても、一目アントワネットに会った途端、彼女の優しい美貌にメロメロになってしまうような素直な子が多かった。アデマールは、海乃が内包する、頑なで硬質な美貌にピッタリだったが、海乃のキャラクターは、宝塚の娘役トップスターの歴史を変えることになるのか、今後とも注目していきたい。21世紀的ヒロインとして、私は推したいのだけれど…。
とはいえ、作品の求心力的には、原田先生の作劇力のせいなのか、役者の技量なのか、すべてをかっさらっていくようなアントワネットの女帝力に、全部持って行かれた感が強い。白雪のアントワネットは、まさに神がかった熱演だった。白雪あってこその「瑠璃色の刻」と言っても過言ではない。やはり、アントワネットは登場しただけでヒロインになってしまう、不滅の女王なのかもしれない(=取扱注意)し、白雪さち花の底力を侮ってはならないということかもしれない。
アントワネット好きで白雪好きな私としては問題なかったが、ヒロインが途中からアントワネットになる、という演出はそれでよかったのかどうか、原田先生にお聞きしたいものである。
ロベスピエールの宇月は、血気盛んな青年議員から、革命成功後の恐怖政治家までを、少ない出番で的確に表現していた。少し甲高い声を使って、ロベスピエールの激しい気性を的確に表現していたのには、さすが[exclamation]と唸らされた。
また、ルイ16世(光月るう)と、王弟・プロヴァンス伯爵(貴澄隼人)、そしてネッケルのやり取りの緊迫感、逆に旅役者のフィリッポ(夢奈瑠音)の的確な訛りによる抜け感は、作品に彩りを与えていたと思う。特筆しておきたい。


フィナーレの振付は、俳優・ダンサーの良知真次氏が担当した。本人の踊る姿を思わず想像してしまうような、カッコいい群舞と、ある意味新鮮なデュエットダンス。印象的な各場面だった。
装置は、原田作品の常連、松井るみ氏。今回も時代背景にピッタリの階段のセットが秀逸。サン・ジェルマンの影たちが操る衝立も、描かれたトカゲ(?)の模様を含め、効果絶大だった。宝塚公演の特異性に対応したよいセットが続いているので、今後とも宜しくお願いします[黒ハート]


ACT2.jpg


夜の大看板[わーい(嬉しい顔)]


宝塚歌劇月組博多座公演「長崎しぐれ坂」観劇 [┣宝塚観劇]

宝塚ミュージカル・ロマン
「長崎しぐれ坂」―榎本滋民作「江戸無宿」よりー


脚色・演出:植田紳爾
作曲・編曲・録音音楽指揮:吉田優子
編曲:鞍富真一
振付:花柳壽應、若央りさ
殺陣:菅原俊夫
装置:関谷敏昭
衣装:河底美由紀
照明:勝柴次朗
題字:望月美佐
音響:加門清邦
小道具:下農直幸
演技指導:立ともみ
歌唱指導:ちあきしん
演出補:鈴木圭
舞台進行:日笠山秀観


2005年星組大劇場公演の再演作。当時は、轟悠の大劇場“降臨”公演のただ中。2003年・花組「野風の笛」、2004年・雪組「青い鳥を捜して」に続く、第3弾がこの「長崎しぐれ坂」だった。そして、この公演は、伝説のトップ娘役、檀れいのサヨナラ公演でもあった。
今回は、なんと12年ぶりの再演とのこと。ちなみに12年前の感想はこちらです。同じ役で出演するには、茫然とするしかない。
さて、江戸時代の長崎には、大きな使命があった。鎖国を掲げた日本の中で、唯一、外国との交易のための港が開いていたのだ。そして、そこには、交易相手の外国人居留区があった。その中は、租界のような仕組みになっていて、治外法権。日本の役人もむやみに手が出せなかった。それを狙って、各地の無宿者が、ここに潜り込んでいた。
伊佐次(轟悠)もその一人。そして、彼の幼なじみの岡っ引きで、だからこそ、伊佐次を人の手に渡したくない卯之助(珠城りょう)も、立場のないただの下っ端になることを承知で長崎に移り住んだのだった。
人に捕えられるくらいなら、自分の手で捕縛したい…と。
でも、それは積極的な感情ではなくて、いつまでもこんな中途半端な日々が続いてほしいと卯之助は思っているようだ。
一方、長崎奉行所の面々も、他所からやってきた悪人達の捕縛には、積極的ではない。面倒この上ないと思っている。長崎で何かをしたわけではないのに、なんて捕縛しなきゃならんの[exclamation&question]的な。
それが卯之助の狙い目でもある。
ところが、ここへ、江戸から館岡(朝美絢)という男がやってきた。彼は伊佐次を捕縛するために手段を選ばないと、宣言している。この男が来たことで、それまで、それぞれの思惑を胸に互いに「なにもしないこと」で共存してきた彼らの人間関係が変化を始める。
館岡役に朝美を配したことで、初演以上の効果があったように思う。小柄な朝美がスピッツのようにキャンキャン吠えることで、それに響かない長崎という場所の特異性や、これまでなあなあで来た関係が、この男のせいで崩れて行きそうな不穏な空気が感じられる。
そこにいち早く気づいて、現状維持と新しい風、どっちに転んでもいいように、巧みに動きを始めている探り人のぼら(千海華蘭)。顔と声の幼さが気になるが、卑屈な小物キャラが憎らしいほどピタリとくる。変わろうとする空気に敢えて気づかぬような振りをしながら、全力で揺り戻しをかける卯之助との対比が鮮やかだ。
それぞれのキャラクターを際立たせるというよりは、関係性の中で自然と際立つように作って行く「月組芝居」が、古いテイストの植田作品を鑑賞に堪えるものに仕上げていく。
さて、長崎奉行の面々も、何もしていないわけではない。
悪人達が勝手に自滅して唐人屋敷を抜けだしたら、一斉に動いてお縄にする。恋人に会いたくて、でも、家族に会いたくて、でもいい。誰だってそういう不安定な心情になる時がある。それが彼らの動く時だ。館岡は手ぬるいと言うが、この方法が一番確実なのかもしれない。
ある日、卯之助は、神田明神の氏子仲間、おしま(愛希れいか)と再会し、懐かしさのあまり、伊佐次に会わせる。三人は幼なじみで、足の悪い卯之助を伊佐次とおしまが庇ってくれた、という過去がある。おしまは、廻船商・和泉屋(綾月せり)の囲われ者になっている。このキャスティングのため、「舞音」を思い出してしまうが、おしまは、舞音より年齢も上だし、色々な経験を経て、蓮っ葉でさばさばした明るい女になったんだろうなと思わせ、素敵。祇園の芸妓のように美しかった檀れいより、説得力がある。
このおしまの登場は、唐人屋敷で大事にされてお山の大将として第二の人生を過ごしていた伊佐次に衝撃を与える。一気に里ごころがついてしまった伊佐次は、荒れに荒れる。
自分が唐人屋敷を出ないのではなく「出られない」事実を突きつけられたから。
唐人屋敷には、伊佐次だけでなく、各所で悪事を働いた無宿者が多くたむろしていた。彼らは、いつの間にか伊佐次をリーダーとして、纏まっていた。が、最年少のらしゃ(暁千星)が最近反抗期のようで、ことごとく伊佐次に逆らう。
どうやら、陰でぼらが暗躍しているようなのだが、らしゃは、ぼらをいい人だと信じている。そんならしゃが伊佐次は危なっかしくて見ていられないが、一人前のつもりのらしゃは、伊佐次の干渉を拒む。
星組では、このらしゃ役を研15の安蘭けいが演じた。当然、過干渉気味の伊佐次が謎だし、母親に会いたくてぼらの嘘に騙されるのが頭悪そうにしか見えなかった。まだ新公学年で、あどけない表情のが演じたことで、母恋しな、らしゃに涙することができた。
さて、主演の
12年ぶりの伊佐次と思えない。「の伊佐次」が蘇ったように感じる。
技術的なことを言えば、年齢的なものなのか、これまでの酷使が祟ったのか、声がカスカスしていて、かつての大音声を知る身としては寂しくもなるが、その枯れた感までも含めて伊佐次だった。「帰りたい」とジタバタする姿や、一人で酒を飲んでいる場面の太ももまであらわな姿、どれも絵になる。
卯之助の珠城は、そんなと同い年の幼なじみ…というありえない設定を精一杯頑張っていた。
見た目で、それは無理があることは百も承知、それでも、伊佐次と一緒に夢を見続けたい、と縋る卯之助がちゃんとそこにいた。月組トップスターらしい素晴らしい卯之助だったと思う。
その他、水牛を演じた華形ひかる、李花役の憧花ゆりのも好演だったと思う。


上演前は、期待値ゼロだったが、思いのほか楽しめる「長崎しぐれ坂」だった。


博多座 [┣宝塚観劇]

三日間、城三昧で過ごした後は、いきなり、博多にやってきました[exclamation×2]


博多座1.jpg


博多座の恒例の大きな看板。
上演されているのは、月組の「長崎しぐれ坂/カルーセル輪舞曲」。専科から轟悠、華形ひかるが出演して花を添えている。ってか、轟は、12年ぶりに再演された芝居で、堂々の主演。


菩提山⇒小谷⇒姫路…と来て、ついに博多座[ぴかぴか(新しい)]どんどん派手になっていく気が…[わーい(嬉しい顔)]


公演だけでなく、福岡在住の友人に会えて、楽しい夜だった。
なんかホッとして、ぽやーんと過ごしてしまって申し訳ない…[もうやだ~(悲しい顔)]


宝塚歌劇宙組東京公演「王妃の館」ほか観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル・コメディ
「王妃の館」―Chateau de la Reine―
~原作 浅田次郎『王妃の館』(集英社文庫刊~


原作:浅田次郎
脚本・演出:田渕大輔
作曲・編曲:青木朝子
編曲:植田浩徳
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃、AYAKO
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:今岡美也子
歌唱指導:彩華千鶴
映像:奥秀太郎
演出助手:樫畑亜依子
装置補:稲生英介
舞台進行:香取克英


映画化もされた浅田次郎のエンターテイメント小説が原作。この作品が田渕先生の大劇場デビュー作となる。
友の会で全滅してしまい、なんとか取れたぴあのチケットで観劇。いやー、ホント、100周年からこっち、綱渡りのチケット状況[爆弾]宝塚ファンとしては嬉しいことですが、自分が観られないほど盛況なのは、痛し痒し…[もうやだ~(悲しい顔)]

さて、「王妃の館」。とある日本の旅行代理店と、「王妃の館」としておなじみのパリのホテル、内情は火の車になっている二つの組織が結託して、ダブルブッキングツアーを計画した、というドタバタ劇である。
原作も映画も知らず、予備知識なく舞台を観たのだが、まず感じたのが、ツアーのメンバーが少ないんじゃないか[ひらめき]ということだった。それで興味がわいてすぐに原作をゲットしてみたら、けっこう面白かったので、浅田先生には、よい宣伝になったのかもしれない。
田渕先生の前作「ローマの休日」も、ほとんどの出演者がモブになっていて残念だな…と思ったが、今回もモブ出演者が多く、そんなのだったらツアーメンバーを減らすより、むしろ水増しすればいいのに…と残念な気持ちになった。デビュー前の田渕先生は、登場人物が多くて多彩なバウ作品を書いていて、どの作品も好きだったのに、原作付の最近二作には、あまり共感できていない。
原作を読んで思うのは、ひとつの部屋を二組が利用する…そのどのパターンにも、それぞれネタが仕込まれている、ということだ。
小説家・北白川右京(朝夏まなと)と編集者・早見リツ子(純矢ちとせ)の部屋には、早見がぶっちぎったライバル出版社の編集者二人(今回カット)が。これはどこでばったり出会っても、非常にまずい事態が起きる[がく~(落胆した顔)]
成金の金沢寛一(愛月ひかる)とフィアンセのミチル(星風まどか)の部屋には、カード詐欺師の丹野夫妻(凛城きら・彩花まり)。これは舞台でもあった通り、そりゃ、その道の人の部屋に成金の荷物があったら…という展開[どんっ(衝撃)]
カタブツの警官・近藤誠(澄輝さやと)とオネエのクレヨン(蒼羽りく)が相部屋で過ごすルームには、不倫清算旅行中の元OL(今回カット)。綺麗に掃除されていても、夜の世界で働いている人独特の強い香水は消し切れず、元高給独身OLにブランドまで当てられ、ドキドキの展開[あせあせ(飛び散る汗)]
そして、人生の最後に奮発してパリ旅行に出かけ、死に場所を探している下田夫妻(寿つかさ・美風舞良)の部屋には、二人が出会った定時制高校の担任の先生夫妻(一樹千尋・花音舞)が定年後の旅行に来ていて…結局二人の遺書をこの夫婦が見つけることで事態を収拾できるのだが、これは原作通りバッチリと決まっていた[ぴかぴか(新しい)]
が、おそらくは上演時間上の都合から、登場人物を削り、そのため、北白川先生の部屋に近藤・クレヨンが泊まったことから、主人公の部屋でその手のドラマが発生しない残念さがあった。
同時に、たとえセリフのない役だったとしても、ひとつの役でずっと舞台に立てる出演者は多い方がいい観点から、目立たない旅行者であってもツアーの人数を増やす、というかせめて減らさない方針にはできなかったのか…と、思った。
田渕先生なら、寂しい元OL役に愛白もあを配役したって不思議ではなかったのに。
とはいえ、丹野真夜役に、彩花を配役してくれたのは、とても嬉しかった。まさにピッタリ配役[exclamation]

17世紀部分の登場人物、ルイ14世(真風涼帆)やディアナ(伶美うらら)と、ツアーのメンバーは小説上は何の接点もない。ルイたちの物語が、この作品の入れ子の小説になっている。ホテルのコンシェルジュ・デュラン(美月悠)が語る17世紀の物語のようでいて、どこからか北白川先生の新作小説に移り変わっている…不思議な劇中劇ならぬ小説中小説になっている。
それを、北白川先生の部屋に現れる亡霊にしたのは、舞台的にトップと2番手の物語が別々に進行するのを防ぐよいアイデアだったと思う。ただ、その結果、ムノン(松風輝)の役が単なる侍従のようになってしまったのは、残念すぎた。あ、その結果、じゃないか。たぶん、素晴らしい晩餐を光ツアーが食べ、影ツアーが話をカーテンの陰から聴くというシーンがなかったのが、いけないのだと思う。あのシーン、やってほしかったなー[もうやだ~(悲しい顔)]
あと、ミチルが寛一の髪形について知らない設定にしたのも、最後に感動を盛り込みたかったのだろうが、かなり安易だったと思う。同じ部屋に生活していて、わからない方がおかしいと思った。


原作を読んでしまうと、舞台版の足りていないところ、矛盾点がスッキリするので、まだ読んでいない方は、ぜひ原作を読んでいただきたいと思った。そして、出演者の頑張りによって、ハートウォーミングな舞台が完成したことに甘えず、田渕先生にはより精進していただきたい…というか、「Victrian Jazz」「Sanctuary」「相続人の肖像」的な作品を大劇場でもガツンと見せてほしい。

さて、出演者。
主人公が北白川右京というのは、その変人度からしていかがなものか、とは思うが、朝夏は、なんだかわからないが、あのかっこうでも素敵だったので、これはもう神だと思うしかない。
一方、弱小旅行者の社長兼ツアコンという設定の実咲凜音は、北白川のトンデモ衣装に合わせて、やたら極彩色の衣装を着せられていたが、彼女のスタイルでは着こなしているとは言い難く、残念なサヨナラステージとなった。もう少し普通の服でもよかったんじゃないだろうか。
原作では、彼女は恋愛面で大きな問題を抱えていて、そのことが魅力にもなっていたのだが、この設定が排除されたことで、性格と役割がばらんばらんなイメージになってしまったのも残念。まあ、実咲のキャラクター的には、不倫地獄より、若き社長として会社を潰したくない一心…という方が、似合いだとは思った。
ルイ14世の真風は、北白川との対話のシーンができたことで、原作以上に生き生きと国王である自分と、恋を貫きたい自分の間で葛藤する姿を描いていた。
愛月にどうしてあの役がついたのか、全然理解できないところだが、それでも、金沢は非常に魅力的でハートフルなキャラクター。ラストシーンでは彼の太っ腹な性格ですべてが解決する。だからおいしい役ではあるのだが、二枚目ではない。そもそも好感度も低めな人物として描かれている。なのに…というラストのカタルシスがあるわけで、二枚目の愛月が演じることで、なんとも中途半端感が残った。
(二枚目は二枚目なのだが、ぜったい嵌まりそうだなーと思う私的配役は、星組の壱城あずさである。)
ミチルの星風は、まあ、これは愛月にも言えるのだが、キタキリスズメが残念すぎる。金持ちアピールは絶対必要だと思う。そこに序列があろうとなかろうと。
てか、旅行ものなんだから、もっと衣装を出せ[exclamation]ツアコンだけが着替えるって、おかしいでしょ[exclamation&question]
ディアナ役の伶美うららは、もっと素っ頓狂なキャラをそのまま残してもらえればよかったのに…と思ったが、一度きりの観劇なので、実は詳細を忘れているのかもしれない。
澄輝は、パッと見、澄輝とはわからない位の変わりようで、単純でゴツい警官役を見事に演じ切っていた。蒼羽は、ゲイバーのホステスという非常に難しい役を自然体で演じていて、決して奇をてらっていないところに好感が持てた。
専科の一樹の芝居が素晴らしかったのと、それをセリフが少なくてもちゃんとフォローしていた花音に感動した。
わりと淡白な脚本が、出演者の力量で熱い舞台になったと思う。
中堅どころがモブなのに熱く頑張っていたのが、忘れられない。


スーパー・レビュー
「VIVA!FESTA!」


作・演出:中村暁
作曲・編曲:西村耕次、鞍富真一、青木朝子、手島恭子
音楽指揮:西野淳
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、AYAKO
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:太田遼
歌唱指導:彩華千鶴
舞台進行:香取克英


ショーは、ソーラン宙組がすごかった。特に銀橋での伶美のオトコマエなことと言ったら[exclamation×2]
ヴァルプルギスは、「はげ山の一夜」を使用した場面だったが、音楽がもっとテンポよく進行してくれたらなーと、ディズニー映画「ファンタジア」のファンとしては、ちょこっと思ったりした。
それにしても宙組でここまでパワフル&ダンサブルなショーが観られるとは[ぴかぴか(新しい)]トップ次第で舞台は変わるんだな~と思うし、だから数年でトップは交代するんだなーとも思った。寂しいことではあるが。
伶美のロケットSが、こちらはキュートで素敵だった。(かなりファンらしい…)
そして、これが最後になってしまったトップコンビのデュエットダンスの素晴らしさは、夢のようだった。


「MY HERO」感想 その2 [┣宝塚観劇]

公演も無事終了したので、「MY HERO」の出演者感想を書きます。
公演中の感想はこちらです。

ノア・テイラー(芹香斗亜
本当に歌が素敵になった。
ちょっと黒っぽいヒーローなところも、芹香には似合っていた。
マイラをお姫様だっこし続ける体力にも感服した。
マスクかぶっててもかっこいいし…作品的には、深いものではなかったが、芹香の魅力を伝えるという意味では、機能していたと思う。
主人公なのにほかに書くところがないくらい、しょーもないヤツだったが、なぜかピッタリで、その上、かっこいい&好きだなと思ってしまうところが、芹香のおそろしいところだと思った。

テリー・ベネット(鳳月杏
そもそも名前が、テリー・ベネディクト(オーシャンズ11の敵役)かっ[exclamation×2]という突っ込みもありつつ…
衣装が微妙である。アクションスター(スーツアクター)という設定のせいか(=常にアクションシーンに相応しい服装)、足元は底のない短ブーツ。鳳月は等身バランスの素晴らしい生徒なので、単独では全く問題ないが、主演の芹香と並ぶと身長差ができてしまう。一応、この人が変身した後この人になる(逆もある)二人なので、等身バランスは揃えてほしかった。
てか、別に底ありブーツでも誰も気にしないでしょ、サイトーくん以外。
そして、彼は最初から病気を抱えているという設定。病名はリンフォーマ(=悪性リンパ腫)。
彼には妹がいて、医学生。兄の病気は私が治す、と言っている。彼がアクションスターとして働いているのは、もちろん憧れの職業だということはあるだろうが、妹の学費を稼ぎだすため、でもあると思われる。両親の話がまったく出てこないので、おそらく兄が妹を養い、学費をだしているのだろう。
とすれば、妹の研究分野は、悪性リンパ腫、ということになる。なんで、ヘッドホンから音楽を流して洗脳する、とかいう研究がすぐ成功するの[exclamation&question]マジ天才[exclamation&question]
そして、物語の最後の方で、「明日手術を受ける」ということになるのだが、手術で治るのか[exclamation&question]
後日談的映像でこれまで通りアクションしてるけど、そんなものなのか[exclamation&question]だったら、もっと早く治療に入ればよかったのに。
現実的な話をすると、リンフォーマの治療の選択肢に「手術」はないらしい。
が、物語の中に特化した「適当な病気」としてリンフォーマ(悪性リンパ腫と言っても実に色々な種類があるらしい)を設定したと仮定し、その適切な治療法に「手術で摘出」があったとすると、

何故今まで受けなかった[exclamation&question]

という疑問が生じる。「最新の治療でお金がかかる」のなら、彼がスターになった理由のひとつとして、納得もできるのだが、だったら、そう言おうよ。てか、妹のセーラのための学費払ってる場合じゃないだろう。
自分は死んでも、妹を大学に行かせたいと思っているのなら、妹が兄の病気を正確に知っている(=医学生)というのは、微妙な設定である。誰が愛する家族を死なせてまで、勉強したいだろうか。
まったく意味不明である。
荒唐無稽を貫くなら、天才医学者セーラが画期的な治療法を見つけて、兄を治療するというぶっとび展開くらいしてほしかった…
全米大ヒットした「ミリオン・サマー」という彼の持ち歌の微妙さも特筆に値する。妙に演歌チックなメロディーライン、70年代のようなマイクパフォーマンス、どこにもヒットする要因がない。
もしかして、テリーの魅力だけがヒットの要因[exclamation&question]とんでもないスターだな、こりゃ。
スタイル面で、芹香と並んで遜色ないという点で、鳳月の2番手は、この作品のマスト要件だったと思うが、そのわりにはホント雑な扱いで、鳳月贔屓の私としては、ちょっとオカンムリだわよ、サイトーくん[ちっ(怒った顔)]
漲る鳳月杏無駄遣い感…でも、本人が楽しそうだったので、まいっか。

マイラ・パーカー(音くり寿
マイラは、子どもの頃は、子役としてノア(芹香)の父親が変身後のヒーローを演じていたテレビ番組「マスクJ」に出演していた。
運命の17年前、ノアは8歳だけど、彼女は5歳くらい?そうすると現在22歳か。さすがに4歳はないよね、あれだけの芝居してて。現在…年の差3歳に見えないですけど(笑)
悪役俳優チャップマン(天真みちる)の罠によってケガをさせられ、全快したはずなのに、そのトラウマで歩けない、という設定。
なんだけど、手術が成功した時点で、PTSDの話が出てくるとか、なんか不自然。治ってるはずなのに歩けない…あ、それはPTSDかもしれませんね、みたいな展開じゃないの[exclamation&question]普通は。
最初から、手術は成功したけど、PTSDで歩けなくなる可能性が…なんて、言わないと思うんだよね。
ナレーターが「この物語のヒロインである」と紹介しないと、ヒロインということが分かりづらいのは、サイトーくんあるある。どうしても男役同士の話がやりたい人だから。
役はくり寿ちゃんに合っていたし、可愛かったけど、子供っぽさが抜けないな…歌はうまいけど、そろそろ限界かも。
マスクJが彼女のヒーローだった話は、エピソードの中で一番素敵な話だと思った。

クロエ・スペンサー(朝月希和
元テニス界のアイドルで、金と男にだらしない女。
もしもし[exclamation&question]なんだそれ[exclamation&question]
朝月は、言われたとおりに演じているようだが、ちょっとキャラ濃く作り過ぎていて、会話が全部自己完結してしまっている。
彼女がいい女になり過ぎると、ノアの最低さが際立つので、あくまでもヒロインになり得ないキャラで通していたのだと思うが、作中、金と男にだらしない姿は見せなかったので、いいかげんな設定だな、と思った。
とことん、金と男にだらしない女は、逆にカッコいい気がする。(価値観がブレないから)

ハル・テイラー(綺城ひか理
ノアの父で、マスクJの中の人。
恋愛もの苦手なサイトーくんなので、再婚したのは、子どものため、というか自分が前向きになって子どもを守るため、というゴミな理由である。人一人まともに愛せない男にヒーローの資格なし[爆弾]
なのに、包容力たっぷりに演じてしまうあかちゃんは、よほどサイトー作品との相性がいいのだろう。
エキサイタープロダクションだっけ[exclamation&question]の、受付男性もめっちゃおもしろかった。
フィナーレは、芹香、鳳月の後ろで、ソロを歌うという大活躍…ってかぶっちゃけ、マスクJトリオの一人だもんね、すごいよ[ぴかぴか(新しい)]

メイベル・ヒル(芽吹幸奈
実はヒロインという噂。
ハルの再婚相手なので、キキちゃんからは義理の母なのに[exclamation&question]と思ったら、キキちゃんとのデュエットもあってそれが長いらしい。聞きごたえあったから無問題だけど、サイトーくん、母ものも好きだよね。
失礼だと思いながら後妻にしたのに、相手は「一生分の恋をしてしまった」って、どんだけ、すごいんだ、マスクJの中の人[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]
あまり、深く設定が考えられているとは思えないが、入院しているということは、どこか悪いのだろうか。
私も年を取ったということよ…と言っていたが、ゴールド5の連中よりはるかに若いよね[exclamation&question]
ロマネスク企画[exclamation&question]の受付の人も面白かった。

セーラ・ベネット(茉玲さや那
テリーの妹。可愛いが医者のタマゴ。既に洗脳術をマスターしている。
テリーとの兄妹愛は、ちょっと深すぎるような気がしないでもない。でも可愛いから、しょうがない[黒ハート]

エミリー・ブラウン(梅咲衣舞
「スタジオ54」のすーさん的ポジ。
クセの付け方が絶妙[exclamation×2]出来る女、かっこよかった。
たしかにノアをクビにしたのは彼女だけど、その後もずっとノアを気に掛けて、最後に映画の主演の話を持ってくる。でも、もう一度所属してほしい、という言葉は飲み込んで、これまでノアをマネージメントしてきたクロエに譲る。
いい女だ[るんるん]

ゴールド5(冴月瑠那・鞠花ゆめ・千幸あき・高峰潤・夏葉ことり
戦隊もののヒーローは日本はじまりで、アメリカで放映されていた戦隊ものは、戦闘シーンは日本のものをそのまま使っているので、彼らは、顔出しシーンの俳優さんなのかしらね。
時代的に、既に老人ホームに入っているというのが、どうも計算合わないけど。
ゆめちゃんの無駄遣い許さん[むかっ(怒り)]
可愛かったけどね[黒ハート]瑠那ちゃんは、可愛いおじいちゃん。もうひと役のホワイトハンズ氏も短い出番ながら、いい味を出していた。
千幸くんは、適材適所な感じ。とはいえ、ブルーポジションのタイプではないような…緑と逆にしたらよかったのに。高峰くんは、シブいおじいさんだったから[揺れるハート]
しかし、彼のキャラ(すぐ女性に触る)がほんとさいてー[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]サイトーくんの猛省を促したい。
夏葉ことりちゃんは、下級生だけにほかにもいろいろアルバイトをしていたが、娘役としての姿勢がいまいち。オープンカフェで、人待ち顔で足を組む場面など、一般人のような足の組み方が残念だった。

ハンナ・フォスター(美花梨乃
ホワイトハンズ化粧品の後援を受けているノア。ところが、ライバル会社ブラック・ビューティー・ラボの専属モデルでもある女優のハンナとただならぬ関係になっている。
それがバレたことで、ノアは、スターの地位を失ってしまう。
網タイツの足も麗しく、同期ならではの遠慮のないラブシーンがステキだった。
ヒーローショーのおねえさん役も怪演で、嵌まり役だった。

ファニー・スミス(華雅りりか
ぶっ飛んだ演技で、一皮むけた感があった。今後に期待したい。

エマ・スマイリー(乙羽映見
うまい。夫役の天真みちると息がピッタリ。
ロンタイのスリットからのぞく脚がステキ。

スマイリーJr.(矢吹世奈
頑張ったと思う。スマイリー一家、最高のトリオでした[exclamation]

スマイル・スマイリー(天真みちる
めちゃくちゃな役なんだけど、サイトーくんの罪まで、すべて飲みこんで、すばらしいスマイリーを見せてくれた。
もはや神業でした。
過去シーン、闇を抱えながら微笑むチャップマン、実は、ハル殺害を狙っているあの場面の芝居…鳥肌が立つほど、深かった。
天真を見ていると、脚本・演出がダメだから、というのは言い訳なのか…と思ってしまう。それくらい、どんな芝居も深めてくれる。私は、たそが、喫茶店のメニューを読んでも泣けるような気がする。
フィナーレのダンスもカッコよかったです[黒ハート]


宝塚歌劇花組全国ツアー公演「仮面のロマネスク」ほか観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「仮面のロマネスク」
―ラクロ作『危険な関係』よりー

脚本:柴田侑宏
演出:中村暁
作曲・編曲:寺田瀧雄
作曲・編曲・録音音楽指揮:吉田優子
振付:名倉加代子
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:湯田史人
音響:宮廻みさよ
小道具:福井良安
歌唱指導:飯田純子
演出助手:町田菜花
装置補:稲生英介
衣装補;加藤真美
舞台進行:政村雄祐

前回公演からメインキャストを明日海りお以外全員変えて再びツアーに持っていくという、非常にレアケースな公演となった。どうして、こんなことになったのか、前回公演を取り消してやり直したい、という意味なのかな[爆弾]と思ってしまった。
たしかに、前回の公演は、「仮面のロマネスク」という柴田作品として、不十分な点が多かった。柴田先生が歴史に題材を取る時、ものすごく時代背景を重要視している。「そういう時代に生きた人間の物語」を描こうとしている。「仮面のロマネスク」に関して言えば、フランス革命期を舞台にした原作を、わざわざナポレオン没落後の王政復古期に移して描いたことに大きな意義があったはずだ。それなのに、前回公演では、各身分の人々の違いが演出しきれていなかった。
さて、半年後の再演はどんなものだったろうか。
主な出演者感想にからめて、全体像を記載する形にしていこうと思う。ちなみに前回の感想はこちらです。

明日海りお(ヴァルモン子爵)…明日海自身は、前回公演でほとんど完成していて、周囲が変わったことで大変わりすることはなかった。明日海のヴァルモンは、ある種の覚悟を持ちながら、少年のように獲物を追い続けるあくなき好奇心の塊。美しさはたとえようもないし、嫉妬心が強いところも少年っぽくて可愛い。「次はセシルだ」というのが、素直にうなずける。(ゆうひさんの時は、その台詞カットだったのよね[あせあせ(飛び散る汗)]
ラストの場面も美しくて、こうなった時には、命を捨てる覚悟があったからこそ、遊蕩児ができたのよね…と改めて納得できる。柴田先生の期待通りのヴァルモンだったのではないか[黒ハート]と思う。

仙名彩世(メルトゥイユ侯爵夫人)…絶世の美女感はなかったが、前回のトゥールベル夫人が全然垢ぬけてなかったので、ちょっと心配だったのは杞憂というか、あの時は役作りだったんだな…と納得。明日海とのバランスを考えたためか、髪形を盛らずにすっきりしたのが良かった。
自由闊達に恋を楽しめるクレバーな女性が、ツバメだと思っていたダンスニーに完全にコケにされたと思ってキレるシーンが印象的。でも、そのせいで決闘になってしまって、すごいショックを受けているところが、彼女の唯一見せた愚かさで…そこがすごく伝わって、メリハリに繋がっていた。

柚香光(ダンスニー)…思いのほか、嵌まっていた。こういう再演ものの時に、柚香にしかできない柚香らしい色をつけて、でも決して間違ってないいい味を出してくるところが面白い。今回は、セシルと声を合わせて歌う面白さ(可愛さ)、ヴァルモンに手ほどきを受ける場面の童貞臭、そしてセシルの名を聞いたとたんに豹変するメルトゥイユ邸での場面が秀逸だった。

桜咲彩花(トゥールベル夫人)…貞淑でいることに何の疑問も持たなかった夫人が、ヴァルモンによって背徳の悦びを知り、その直後にバッサリと捨てられる…メルトゥイユから見たら何の魅力も感じられないが、ヴァルモンからしたら、これほど興味深い女性はいない…そんなトゥールベル夫人を見事に体現していた。「私が友情を捧げるということは、すべてを捧げることなのです」と心の底から言い切っているのが、なんともいえない。ヴァルモン、ひどい男[爆弾]
ふたつのイメージシーンで、どちらも白い衣装で、ヴァルモンの愛を受け入れるところと、ヴァルモンに捨てられるところ、を演じているが、台詞はない中、夫人の気持ちが伝わって、なんとも言えない名シーンだった。

城妃美伶(セシル)…ピンクの衣装が似合う、可愛らしい花の盛り、といったレディを的確に演じていた。素でない部分でセシルを一から作った役者魂に感服した。親に言われるまま婚約したジェルクールへの「こんなものかな…」みたいな気持と、ダンスニーへの一途な恋心の違いとか、ヴァルモンへの無条件の信頼とか、だから、裏切られたショックとか…10代の娘らしい初々しさが出ていて、見事だった。前回のように、本当に子供に見えてしまうと、いろいろ興ざめだが、演技で若さを出してくれると安心できる。

瀬戸かずや(ジェルクール)…メルトゥイユやヴァルモンと同じく、社交界の中で恋を楽しんでいるが、メルトゥイユと付き合っている時にヴァルモンの恋人を奪った過去がある、という設定。家柄が良く、現役の軍人であり、現在はセシルと婚約している。そのため、メルトゥイユの標的になるのだが、「そういう粋人」な雰囲気がある。さんざん遊んで今度は無垢な少女と婚約する図々しさも含めて魅力的。それでいて優秀な軍人の側面もしっかりと見せていた。
惜しむらくは、前回の鳳月杏の時に存在した美花梨乃演じる愛人役的存在がいなかったこと。ああいう女性が側にいるだけで、すごく男が上がるというのを前回実感したので。

水美舞斗(アゾラン)…アゾランはおいしい役だが、同期がダンスニーをやる中でのアゾランは、それほどおいしい役ではないかもしれない。ただ、水美には合っていたと思う。主人に忠実であり、主人の行動に実は興味津々で、自分も自分の世界で同じようなことをやろうとしている、そんなアゾランの楽しい人生が浮かんでくる。
ジュリーとのラブラブモードも可愛かった。

夕霧らい(執事ロベール)…前回と同じ役という数少ない出演者の一人。華やかな夕霧には、この役はちょっと違う気がして、なのに同じ役なんだな…と。そして、ヴィクトワール役が芽吹幸奈から菜那くららに代わったことで、さらに似合わなさが増していた。

春妃うらら(ジル)・飛龍つかさ(ルイ)・泉まいら(ジャン)…前回どうしようもなかった三人組が良くなった。見事だった。この三人が作品のアクセントだし、時代背景の証人だし、柴田作品らしさの象徴なんだよーーーーー!前回のジュリー役も可愛かったし、娘役としてはジュリーやりたかったかもしれないけど、うららちゃんがジル役でも本領発揮してくれて素晴らしかった。

華優希(ジュリー)…主に私の周辺で、「可愛い~」と大評判の華優希ちゃん。ほんとに可愛かった(笑)
お芝居も浮ついていない、よいお芝居をする子だな~と思った。今後、柴田先生の作品には、絶対に連れて行きたい子です。

今回は、貴族サイドに民衆に肩入れしている人々が居ることとか、ブルジョワと平民の違いとか、前回のツアーで演出家が愚かにも除外してしまった部分がすべて復活!みんながキラキラ輝いていて、花組の「仮面のロマネスク」として完成していた。

スパークリング・ショー
「EXCITER!!2017

作・演出:藤井大介
作曲・編曲:青木朝子
作曲・編曲・録音音楽指揮:手島恭子
録音音楽指揮:大谷木靖
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智
装置:新宮有紀
衣装:任田幾英
照明:湯田史人
音響:宮廻みさよ
小道具:福井良安
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:樫畑亜依子
衣装補:加藤真美
舞台進行:政村雄祐

一方、ショーは「EXCITER!!」の再演。
主題歌は血沸き肉躍りますな、これ[るんるん]
客席も一緒に踊れるように作ってくれたらもっといいように思う。私もやりたーい!
(あ、それは齋藤先生か…)
しばらく再演がなかったが、そか「EXCITER!!」は、花男じゃない(他組出身)トップが花男になる儀式なんだ!(チェンジボックスに入って…?)
で、五峰さん(五峰亜季いろいろ微妙で面白かった。全身ピンクの妖しいデザイナー役にもなっちゃって。
東京でサヨナラ公演が始まっている元花組生まぁくんとみりおんコンビが初めて組んだのが、この場面だったな~と懐かしく感じ、そういえばきらりんが銀橋から落ちたよな…とか、まあいろいろ思い出した。
Mr.YOUの場面は、RIO-BOYになる。
場所は、RIOにちなんでか、リオ・デジャネイロ。ここに、マリンズJrカンパニーがあるらしい。社長は、まりんさん(悠真倫)の三男、Mr.REI(柚香)。室内に、まりんさんとMr.SO(壮一帆)のでかい写真が飾られていて…ここまでやるか!と思った。
チェンジボックスには、ブラジルの歌姫、羽立光来。でも変身後が五峰さんなのは、それ、いいのかしら[exclamation&question]
(すみません、すみません)
ハバナのダンスシーンは、ストーリー的な雰囲気が強まった。
ここで、最後にナイフを渡され、そこから普通のダンスシーンになる…という難度の高い部分を任された瀬戸が、さりげなく一瞬でナイフを隠して踊りはじめたカッコよさに感動。
あと客席降りも盛り上がった。
ため息ソンク゛を客席でやるってのは、ナイスアイディアですね[キスマーク]
釣られた皆さん、ぜひ次は、大劇場へ!


宝塚歌劇花組東京特別公演「MY HERO」観劇 [┣宝塚観劇]

アクションステージ
「MY HERO」

作・演出:齋藤吉正
作曲・編曲:手島恭子
振付:若央りさ、港ゆりか
擬闘:清家三彦
装置:稲生英介
衣装:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:三好佑磨
映像:酒井謙次
映像デザイン:佐川明日香
歌唱指導:HANNA BUNYA
演出補:鈴木圭
舞台進行:荒川陽平
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:井場睦之
制作補:恵見和弘

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いつにも増して迫力の大看板…[exclamation×2]

大阪公演に先駆けて東京公演が実施されたため、早くもMY楽を迎えてしまった私としては、どこまで書いていいんだろう?と悩むことしきり[あせあせ(飛び散る汗)]ネタバレしてしまっては申し訳ないが、早く書かないと小さなとこは忘れてしまいそう…[もうやだ~(悲しい顔)]

さて、北翔海莉主演の「風の次郎吉」は、2年前かな[exclamation&question]なんで花組ばっか、この手の作品を上演するのかな、齋藤先生[爆弾]
とても楽しい舞台だったことに異論はないが、こういうノリの作品を連続で花組にかけること自体、どうなん[exclamation&question]と思ってしまった。星組のためには、重厚な悲劇を書いているだけに。
作品が楽しいにもかかわらず、そう思ってしまうのは、こちらで、落語家の古今亭文菊さんの枕を聞いた時に、感じることがあったからかも。この楽しさは、たぶん、落語のような、情景描写的な面白さだからなんだろうな…という。
俳優というものは、たとえば、落語に登場する心中をしたがる遊女について、「この人にとって死はどういう概念なのでしょうか[exclamation&question]」と本気で質問してしまうタイプの人間なので、キャラだったり記号だったりとして舞台に立つのは、本来、苦しいものなのだ。
一方で、かつての花組(かなり昔)が、大好きなショーの前に、一時間半、「芝居」という難行苦行をこなさなきゃいけないんだよね…的空気を纏っていたことも、事実としてある。「お芝居[exclamation&question]よくわからない[あせあせ(飛び散る汗)]ショーは大好き[黒ハート]」な人々が多かったのかな。
もしかして、齋藤先生は、今の花組生も同じだって思い込んでいるの[exclamation&question]たしかに花組生はノリがいいし、今でもショーが大好きだけど、今はちゃんと芝居の面白さもわかっているのに。
最下級生まで常に舞台に立っていて、台詞ももらえる作品は貴重だし、ノリのいい作品は組子も大好きだろうけど、花組の芝居をちゃんと観たいと思っている観客は無視なの[exclamation&question]と、悲しくなる。前作は、「鼠小僧次郎吉」や「遠山の金さん」を下敷きにしていた分、まだストーリー性に問題はなかったが、今回は、オリジナルだけに、かなりイタくて、つらい出来だった。私のような人間には。(根が暗いんでしょうかね。)

(たまたまチケットが取れて6回観てしまったために、あちこちの綻びに気づいた、ということはあるかもしれない…)

要は石田先生的…というか、(石田先生、スミマセン[あせあせ(飛び散る汗)]老人、病気、障碍者の扱い方が雑[爆弾]というか、愛情を持って描けば理解してもらえるだろう的甘さ[爆弾]というか。
観客の一人として言わせてもらえば、自分に関係のないところはスルーできても、実生活でも関わってくる案件だと、ぴきっ[ちっ(怒った顔)]となってしまう。笑えないっていうか。
齋藤先生、毎日、客席にいたから、たぶん、すごくノリノリなんだろうけど、作品がそれなりに楽しく感じられる部分もあったのは、齋藤先生の脚本じゃなくて、生徒の頑張りが救ったんだよ、勘違いしないでね[むかっ(怒り)]

特に、齋藤先生の書く日本語がひど過ぎて、そのたびに現実に引き戻された。
あまりにひどいので、メモして晒してやろうと思ったんだけど、私のボールペンが齋藤先生のファンらしく、途中、書けなくなってしまった。それともう一つ、たそ(天真みちる)のセリフが上手過ぎて、途中から、ヘン!と気づくのだけど、前部分をメモしてなかったので、わからなくなった箇所があった。
ほんと助けられてるよね、いろんな人とかモノに。人徳[exclamation&question]

では、私のボールペンが生きていた部分だけ、書いておきますね。

「この補填はしっかり償ってもらうからな」⇒意味不明
「媚薬の如しかぐわしさ」⇒「如し」では文が終わってしまうので、「如き」が正しいですね。
「マスクJには借りがあるんだよ」⇒前後の文脈から、「貸しがある」と思われる。
「ハルは誇りをもってスーツアクターを演じていたのよ」⇒これでは、スーツアクターというキャラクターを演じることになってしまう。前後の文脈から、「誇りをもってスーツアクターをやっていたのよ」かな。
「斜に気取るところが嫌なんだよ」⇒斜に構えるって言いたいのかな、意味不明
「君に顔見せできない」⇒顔向けだよね…それともマスクJだから、わざとかしら。
「貴様の仕業と確証した」⇒意味不明。確証が見つかったのかな…
「ハルが共演者に恨みを買われていたなんて」⇒買っていたなんて…だよね…まさか…尊敬語[exclamation&question]

変な日本語ではないけど、別々の女性に「お前といると明日に希望が持てる」「お前といると勇気がわくんだ」って言う主人公、どうかと思うんですけどね…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

出演者陣は、大活躍。後日、ネタバレも含めて、出演陣への絶賛記事を書きたいと思います[黒ハート]


「グランドホテル」感想 その2 [┣宝塚観劇]

長い一日でした[ダッシュ(走り出すさま)]

2年半ぶりに退団フルコースをやってきました。

今回は、会なし娘役さんだったけど、千秋楽が2回公演だったので、トップさん退団公演より体力的にはきつかったかも[exclamation&question]

雨の退団って、ほんと大変。なのに、千秋楽って天気悪いことが多いよね…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

以下、「グランドホテル」の感想「その2」に行きます。「その1」はこちです。3/1までの主な配役感想を書いています。

では、役替りメンバーの感想と、その他の出演者感想行きます。

朝美絢(エリック・リトナウアー)…本役はエリックの方なのかな、ポスターにもあるし。朝美のエリックは、サザーランド版の藤岡正明エリックにもつながるような、時代とホテルでの立場がすごく伝わってくるエリックだった。本当は、少しも早く病院に駆けつけたい、でも、それはできない…それだけに、子どもが生まれた場面の彼の一挙手一投足表情声、すべてに、「希望」と名付けていいなにものかを感じた。月組らしい芝居の子だなーと思った。
雪組に行っても、そんな緻密な芝居心をなくさないでほしいと思う。

暁千星(ラファエラ・オッタニオ)…こちらは、ラファエラが本役ということになるのか。しかし…最初は、女性の役に見えなかった。私だけかと思ったら、幕間などで、「あの人、男だよね」とあちこちで語っている人がいたから、同じような感想を持った人はけっこういたらしい。もちろん、どうやらこの人は、グルーシンスカヤを愛しているらしいということから、性別を判断した人も多かっただろうとは思うが。
といえば、つい数年前までは、声も高い普通の女の子っぽい人だったのに、どうしたんだろう[exclamation&question]男にしか思えない、あの台詞声…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
いや、男役としては、こうでなきゃ[exclamation]というところですが。
でも、千秋楽付近で、がーっと変わった。女に見えた、ちゃんと[exclamation×2]もちろん、初日からできているに越したことはないが、これだけできれば十分だというくらい…[ぴかぴか(新しい)]そうなると、俄然歌唱力が生きてくる[ひらめき]「グランドホテル」で、さらにスターとして前進したように思う。

早乙女わかば(フラムシェン)…本来のフラムシェンらしいキャラクターを好演。私は、好きだったな[黒ハート]おバカで蓮っ葉で、プライジングに付け入られる隙があって、でも、きっと善人だろうと思えるフラムシェン。彼女なら、オットーを捨てたりしないだろう、と思えるから。
「遅れてるの、アレが…」のセリフとか、フラムシェンらしくて見事だったけど、宝塚の娘役として、どうなのだろう…[あせあせ(飛び散る汗)]と思わなくもない。少なくともヒロイン道を行く娘役の演技ではない気はする。
でも、愛する同期、珠城りょうのお披露目のために、敢えて泥をかぶった男気なら、拍手を送りたい。

夏美よう(ドクター)…存在感が凄い。擬人化されたグランドホテル自身みたいな感じがする。またまた代表作[exclamation×2]という感じでした。

憧花ゆりの(盲目の伯爵夫人)…彼女の存在については、解説役のドクターは語らない。いつも片手に花を持ってジゴロ(紫門ゆりや)と踊っているが、本当に存在するのかどうかも、わからない。
本当は死神というか死の象徴なのかもしれない。
初演からそんなイメージがあったので、突然グルーシンスカヤが、死のダンサーとして、男爵と踊り始めたのには驚いた。この伯爵夫人の存在と、トップコンビの死の舞踏をうまく結びつけることができたら、今回の版をもっと評価できたかもしれない。

綾月せり(サンダー)&光月るう(ウイット)…ベルリンの興行主とグルーシンスカヤのマネージャー。サンダーは、ハンガリー訛りが酷いという設定。田舎のおっさんみたいなキャラクターが立っている。ウイットは、グルーシンスカヤの気まぐれに右往左往しながらも、決して彼女を見捨てないやさしい人物。でも力はない。作品の背景をその存在で見事に説明してくれる、すてきな二人でした。

宇月颯(運転手)…胡散臭いが全身からセクシーさが漂ってきてヤバイ[揺れるハート]男爵とのアヤシイ関係を妄想してしまう腐女子多数(ゴメンナサイ)[あせあせ(飛び散る汗)]ステキ以外の言葉が浮かびません…[黒ハート]

千海華蘭(ジミーA)&夢奈瑠音(ジミーB)…かの名曲、「MAYBE MY BABY」をカットされてしまい、その前後のフラムシェンとのやり取りもカットだったため、ホテル内のエンターテイナーとしての二人の存在が薄くなってしまって寂しかった。
掃除婦、マダム・ピーピー(夏月都)との三人が、エリックの息子が生まれた場面で見せる芝居に、こんな暗い朝、それでも無限に広がる希望が見えて、救いになったことは、書いておきたい。

輝月ゆうま(支配人)…いかにも偉そうな支配人という雰囲気がたまらない。そのみすぼらしい身なりだけでオットーを宿泊させない[exclamation]と強硬な態度を取ったり、男爵に言われると前言を翻したり、一癖も二癖もありそうな人物を、今回も的確に見せてくれた。
エリックへの高圧的な態度とかを、もっと観てみたかったな[わーい(嬉しい顔)]

そして、いつもセクシーに綺麗な足を組んでいた、電話交換手の娘役さんたち(玲実くれあ・白雪さち花・晴音アキ・叶羽時・麗泉里・美園さくら)に、ブラボー[ぴかぴか(新しい)]


宝塚星組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

「大空ゆうひRhythmic Walk」の初日感想は、「COUNTUP YUHI」ブログの方に移動しています。こちらです。

さて、大劇場公演「スカーレット・ピンパーネル」を観劇してきました。

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劇場ロビーの花は、公演をイメージしたものでしょうか。

また、1F席後方扉前で、ジンジャーワインを販売中。

スカピンドリンク.jpg

この「ストーンズ ジンジャーワイン」は、1740年にロンドンで誕生した、ラベルにロンドン市の紋章をつけることを許された由緒正しいお酒なんだとか。白ワインに乾燥させた生姜の根を合わせてオーク樽で熟成させたもの。ワイン×ジンジャーなので、ロックでもそんなに強くないですよ。

では、例によって箇条書きで公演感想を書きたいと思います。

  • 過去の公演とは、だいぶ趣が変わった気がする[ひらめき]
  • 梅芸公演を観ているので、ギロチンで首が落ちない演出は、やはり安心して子どもでも観られる宝塚の良さだなーと改めて実感[ぴかぴか(新しい)]
  • 冒頭の銀橋場面、「妻子を亡くした汚いじじい」が一転、ハンサムな貴族になる「つかみ」部分は、お披露目のキラキラ感満載[ぴかぴか(新しい)]で、“スカピン”は、お披露目公演に相応しい演目だな~[ひらめき]と、しみじみ感じ入った。また、紅ゆずるの、まずルックスだけで周囲を納得させてしまう魅力は、やはりこのシーンは欠かせないと思った[黒ハート]
  • 綺咲愛里のマルグリットは、遠野あすかや蒼乃夕妃が、大輪の花の大女優っぽかったのに比べると、どこか新進スター風[かわいい]トップスターまで駆け上がって来たような初々しさがある。その分、歌声は圧倒的とは言えないが、昔から見ている私からしたら、うまくなったし、声出るようになったよね…と母心[わーい(嬉しい顔)]
  • 七海ひろきのロベスピエールは、本人の役作りがどうだったかは知らないが、観た感じ、超イケメンなので、シトワイエンヌが群がり、その結果、シトワイヤンもその周囲に集って彼を褒めたたえているだけで、彼の思想に共感した人はいなかったのでは?と思わせる「顔だけ男」[あせあせ(飛び散る汗)](笑)。でも、本人は、自分がハンサムである自覚がない。自分が思う自分と、他人が思う自分の間にものすごくギャップのある人で、だから友だちもいない。唯一、思想を共有しているのは、美形のショーヴランだけだった(いい男は鏡の中にいるので、慣れている)、みたいな想像をしてしまった[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
  • ロベスピエールの新曲は、梅芸版では、めちゃくちゃ大曲だったが、宝塚版としてコンパクトにまとまっていて、革命の歪みとか、この先のナポレオンの台頭まで思い起こせるようなナンバーになっていた[ぴかぴか(新しい)]七海の歌唱は、これまでの「がっかりする」レベルから、「よし、頑張れ」と応援できるレベルまで上がった[グッド(上向き矢印)]と思う。声量も本人比で落ちないし。さらなる奮起を期待したい。
  • 衣装のトンチキぶりが、さらにアップしていて、口あんぐり[爆弾]しどりゅーは、真田丸かっ[むかっ(怒り)](しーらんも同じような鹿の角帽子だったけど、衣装がより赤備えだったのは、しどりゅー[どんっ(衝撃)]
  • 前回の月組版で、思わず拍手を切ってしまうほどの圧倒的歌唱は、霧矢大夢の「目の前の君」だったが、今回は、もちろん礼真琴の「鷹のように」[ひらめき]素晴らしかった。どの曲もよかったけど、この曲は、一番アガった[グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)]
  • 壱城あずさ天寿光希は、トップお披露目のを終始サポートし、助演男優賞ものの活躍。瀬央ゆりあが、アルマン役抜擢に応え、ハンサムな好青年を印象的に演じた[黒ハート]
  • その恋人役、マリーに有沙瞳。雪組で特徴的な役を演じ続け、イロモノ的になってきたのをリセットし、準ヒロイン的な役にピッタリはまっていた。実力のある娘役に、この組替えはプラスに働いたようだ[わーい(嬉しい顔)]
  • 十碧れいや麻央侑希は、ピンパーネル団の一員だが、少々割を食った感じがある。もっと押し出しを強くしても大丈夫、というか、ここが正念場な気がする。紫藤りゅう、天華えま、綾凰華の三人はフレッシュな魅力を振りまいていた[ぴかぴか(新しい)]
  • 英真なおきのプリンス・オブ・ウェールズは、組の管理職としての居方と専科の居方の違いを感じた。自由に舞台を泳ぎ回っている英真が素敵過ぎる。ひとつの場面に全神経を集中し、本気でさらうつもりでいる。専科さんは、ひとつひとつの舞台が真剣勝負なんだなーと実感。その裏側で、楽屋ではやっぱり面倒見のいい元組長なんだろうなーと思えるところも英真の魅力だな[るんるん]
  • 星組は初演の「エリザベート」など、海外ミュージカルを宝塚歌劇にしてしまう独自のカラーがあったのだが、そういう星組が戻ってきたな~[るんるん]と思った。ビジュアル頼みの派手な舞台のようでいて、実は、細かい心理を繋ぎ合わせて、ミュージカルらしい綻びを丁寧に繕っていて心地いい[黒ハート]
  • 新生星組、期待しています[exclamation×2]

宝塚歌劇月組東京公演「グランドホテル」観劇 [┣宝塚観劇]

ザ・ミュージカル
グランドホテル

脚本:ルーサー・デイヴィス
作曲・作詞:ロバート・ライト、ジョージ・フォレスト
追加作曲・作詞:モーリー・イェストン
翻訳:小田島雄志
訳詞:岩谷時子
オリジナル演出・振付・特別監修:トミー・チューン
演出:岡田敬二、生田大和
音楽監督:吉崎憲治
編曲:太田健、植田浩徳
音楽指揮:上垣聡
振付:御織ゆみ乃
オリジナル装置デザイン:トニー・ウォルトン
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英、加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:下農直幸
歌唱指導:やまぐちあきこ
演出助手:竹田悠一郎
装置補:稲生英介
舞台進行:久松万奈美

珠城りょうのトップお披露目公演として、「グランドホテル」が23年ぶりに蘇った。

23年前、涼風真世のさよなら公演も私は観ている。当時は、今ほど宝塚のためにお金が使える状況じゃなかったので、たぶん、2回観劇した程度だったと思うが、観劇してみると隅々まで強烈に覚えていた。
(この公演には、当時研2になったばかりの大空祐飛(現・ゆうひ)も出演していたはずだが、もちろん、当時はその姿を目に留めることはなかった。)
なので、大劇場公演を観た時は、カットされてしまったジミーズの場面などをうじうじと残念がったりしていたのだが、東京へ来て、ようやく積極的に公演を楽しめるようになった。

前回公演との大きな違いは、前回は、オットーとフラムシェンをトップコンビが演じていたのに対し、今回は、男爵フェリックスとバレリーナのグルーシンスカヤをトップコンビが演じていることだろう。
そもそも古い映画版の「グランドホテル」では、バレリーナがグレタ・ガルボ、男爵がジョン・バリモア、フラムシェンがジョーン・クロフォード、オットーがジョンの兄でもあるライオネル・バリモアで、この辺りまでがスター俳優だったようなので、まあ、どちらを中心に描いても成り立つということなのだろう。
ちなみに、昨年上演されたサザーランド版の「グランドホテル」では、オットー、男爵、グルーシンスカヤの3名がメインキャストのような扱いだったと思う。

配役が発表された時、コソ泥やって殺される役でお披露目ってどうなんだろう[exclamation&question]と、ちょっと首を傾げてしまったのだが、珠城りょうの魅力は、まさに、ちょっとダメな男を演じる時に最大限生きるのだ、ということに気づかされたお披露目公演だった。
お披露目ということで、冒頭とエンディングにそれらしい歌とダンスの場面が入ったが、ドラマ的にはなくてもよかったかな、とは思った。特にエンディングは、とてもステキな振付で、トップコンビのキラキラ感サイコー[ぴかぴか(新しい)]ではあるものの、やはり蛇足感は否めなかった。ま、それだけ、ミュージカルとしての完成度の高い作品なんでしょうね。

以下、出演者感想です。

珠城りょう(フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵)…かなり金策に追い詰められている貧乏貴族。ホテル住まいだが、7ヶ月分宿泊費を滞納しているので、普通ならホームレスと言っていい。ホテルに出入りする運転手(宇月颯)の助言に従ってホテルの中でコソ泥を働いている。どうやら、そもそもは、運転手の“ボス”に金を借りて株に投資した挙句、借金がかさんでいるらしい。典型的なダメ男。でも女性や困っている人には優しい。腐っても貴族なのだろう。
そんな男爵が、突然恋に落ちる。相手は、高価なネックレスを狙って忍び込んだ部屋の住人、バレリーナのエリザヴェッタ・グルーシンスカヤ(愛希れいか)。部屋に忍び込んでいたことを咎められ、咄嗟についた嘘から、本当の恋が始まる。しかし、その恋は成就することなく、男爵は、タイピストのフラムシェン(早乙女わかば/海乃美月)を実業家・プライジング(華形ひかる)の魔の手から救うために、命を落としてしまう。
私の記憶の中の男爵、久世星佳は、陰のある男で、それが魅力だった。珠城の男爵は、一片の影も持たない男の魅力があった。どんな悲劇的な状況にあっても、自棄にならず、みっともない態度を見せないようにしている。その、「自分を押し殺して演じる貴族らしさ」珠城のニンに合う。それこそがトップの矜持であり、若くして珠城をトップに押し上げたものだろう、と思えるからだ。
経験のあるトップ娘役の愛希に対しては、その経験を尊重し、対等な相手役として、自由に演じさせている印象。それも珠城の懐の大きさを感じさせる。珠城愛希が踊る場面は、そのダイナミックさ、大きさにウットリ。このコンビの大きな売りになるだろう。
それにしても、どの衣装も似合って、本物の貴族にしか見えない[exclamation×2]珠さまと呼ばれる所以ですな[るんるん]

愛希れいか(エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ)…5回目の引退興行中のバレリーナ。かつてロシア帝国のセルゲイ大公の恋人だった。おそらくは、実在のバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤがモデル。だとしたら、60歳過ぎても踊っていたり、99歳の長寿を誇ったり、普通ではないパワフルな人生を送っていた辺り、愛希の役作りそのものの人生ということになる。
実年齢的に愛希の方が年下だし、学年も愛希珠城より一期下。しかし、トップ娘役5年目のキャリアが、男爵よりだいぶ年上のバレリーナという設定を嘘ではないものにする。
そして、「年上だけど可愛い」ということを見事に体現する、突拍子もない演技[exclamation]な、なるほど[exclamation×2]と深く納得してしまった。
男爵と一夜を過ごしたグルーシンスカヤは、見事に若返っている。…ことになっている。サザーランド版でもそういう設定だった。しかし、悲しいかな、実際にグルーシンスカヤを演じている女優の実年齢は、そう簡単に覆らない。表情と演技力で、そういうことね、とこちらが納得することになる。しかし、宝塚版のグルーシンスカヤは、本当に若返るのだ。実際に若い愛希だからこそ、このマジックが成立する。そして、それはとても宝塚的だった。
さらに、世界的なプリマバレリーナという設定がピッタリで、体重を感じさせない立ち居振舞いが、本当に見事[ぴかぴか(新しい)]

美弥るりか(オットー・クリンゲライン)…病に倒れ、死を待っている簿記係。人生の最後に、グランドホテルというベルリン最大のホテルに宿泊して「人生を見たい」と願っている。
美弥については、小学生の頃、涼風真世の大ファンで、「グランドホテル」の大千秋楽の日、ファンクラブの一員としてガードをしていた、という過去があったらしい。かつて大ファンだった人がさよなら公演で演じた役を、2番手スターに昇格して演じる…というのは、まるでシンデレラストーリーだ。
大ファンだったと言うだけあって、当時の涼風を彷彿とさせるオットーだったが、もちろん、美弥の個性でしっかりと再構築している。人間アニメ演技と小池先生に言わしめた涼風の華やかさは受け継ぎながら、新生月組らしい緻密な芝居でオットーという人物を見せてくれていた。
また、男爵と一緒に踊ったチャールストンの場面の身の軽さ、ダンスの鮮やかさは、この舞台の大きな魅力だと思う。

朝美絢(ラファエラ・オッタニオ)…本役はエリックなのかな、ポスターにもあるし。東京公演は、ラファエラ役からスタート。
初演では少しごまかしのあった、ラファエラのセクシュアリティに鋭く切り込んだ、21世紀ならではのラファエラという感じ。
初演当時(1993年)、宝塚歌劇団で上演する作品は、今に比べると色々と制約があった。同性愛的色彩も当時はアウトだった。なので、天海祐希は、「親友への同情心に熱い女性」という難しい役どころを2番手時代最後の公演で演じなければならなかった。
今回のバージョンでは、プログラムにも「グルーシンスカヤへの秘めた想いが溢れるラファエラ」という記述がある。朝美のラファエラは、明確にその思いが恋であることを表現していて、それも、いつか必ず彼女を手に入れてみせる、という熱い思いが伝わってくるような激しいラファエラ。しかも、あの独特のオカッパ頭が、朝美の美貌に不思議な妖しさを付加していて、とても魅力的だった。

暁千星(エリック・リトナウアー)…こちらは、ポスターによれば、本役がラファエラなのだろうが、東京はエリックからスタート。それにしても、公演ごとにどんどん歌が上手くなる。「THE MERRY WIDOW」の時、甲高い声しか出せなかったなんて、誰が信じるだろう[exclamation&question]「あの子は抜擢には早すぎる」と周囲に言いまくった私だって信じられない。
のエリックを観ていると、今、ミュージカルを観ている、という気持ちになる。そもそも宝塚版のエリックは、初演が汐風幸だったこともあって、演技の役というイメージが強いのだが、は、一曲のソロで、すべてをさらっていく。実に気持ちのいい歌唱でした。その分、それ以外のシーンでは、居るだけ、動くだけ、の印象が強い。
いつかは月組を背負う人になるのだろうが、そういうところが、月組らしくない…かも。ま、成長度がハンパない人なので、次の公演あたりで芝居も開眼してくれるかも、と期待しておく。

海乃美月(フラムシェン)…東京公演では、フラムシェンの電話のセリフが大きく変わった。「生理が遅れている=妊娠したかもしれない」ということが、大劇場公演のセリフでは分かりにくかったため、変更したのだと思う。しかし、「遅れてるの、アレが」とは、ずいぶん大胆に改変したな…[あせあせ(飛び散る汗)]これも21世紀の「グランドホテル」らしさかもしれない。
フラムシェン自身、本来、そういうあけすけな女性なのだろう。前回公演では、トップ娘役が演じるということで、ある程度ヒロインらしさが必要だったが。
海乃は、彼女の娘役としての個性が、「刹那的で楽天的」の真反対にいるので、宝塚版の限定された背景下のフラムシェンには、あまり似合わない。が、幸い、私は、サザーランド版で、フラムシェンの家庭事情(母親がいないとか、裕福ではないとか)を知っているので、海乃の堅実さもまた、フラムシェンの側面かもしれない、と思っている。
しかし…ミニスカートから覗く太腿が…スレンダーな海乃にしてはちょっと太めで…初演の麻乃の努力を知るだけに、ちょっと残念[バッド(下向き矢印)]いや、さすがに38キロはやり過ぎだとは思いますが…[爆弾]

華形ひかる(プライジング)…ミュージカルだし、オジサンの役だし、華形が演じる必要あるのかな[exclamation&question]とは、思うものの、やはり、華形が大劇場に出演してくれたことは嬉しいし、演じてみれば、華形らしいプライジングで、21世紀版の「グランドホテル」に必要なスターだったな、と思っている。
初演の箙かおるは、まさに怪物、といった感じで、存在そのもので「フラムシェン逃げてー」と思ったし、男爵、敵うわけないと思ったし、「そりゃ、逮捕されるわー」と思ったし、深く考えずに存在だけでヤバイものと認識していた。そういう怪物感のない二枚目の華形は、胴布団を着用し、初老の斜陽経営者を形から地道に作っている。
彼の事業が今危機に瀕していること、あまりのプレッシャーで彼が普段の彼ではなくなっていること、フラムシェンの若さや軽薄さに対してどす黒い気持ちが沸く下地は十分に感じられた。もちろん、窮地に陥った時にこそ、その人の地が出るのだろうとは思うが、男爵を泊まらせ続けた支配人が、思わず男爵を「強盗」と呼ぶほどには、プライジングさん、支配人の心を溶かしていたんだなぁ~と思う。
それが、華形の人間力と相俟って、作品のアクセントになっていた。
正義の味方とか悪役とか、このミュージカルはそんなんじゃないんだよね、と。

別配役、その他の役の感想は、また改めて書きます。


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